旅行などで知らない土地に行ったときに、助手席の人が地図を見ながら道案内する・・・
そんな光景はカーナビの普及によってすっかり見なくなりました。
今やカーナビのない車を探すほうが難しい時代です。
旅先で道に迷うことも少なくなり、本当に便利になりましたね。
一方で、最近誰かに道順を説明するとき「〇〇号線をまっすぐ行って・・・」という会話も少なくなったかもしれません。
道を覚える必要がなくなって、その説明では逆にわからなくなってきたからです。
でも、どの道路が〇〇号線かわからなくても、道路に番号が振られていることは知っていますよね?
今回は、道路の中でも国道にスポットライトを当てて、国道のあまり知られていない事実についてお話ししたいと思います。
確かにカーナビがあると紙の地図はいらないよね!最近はグーグルマップもあるし・・・
僕は地図を見るのが大好きなんだ!何時間でも見ていられるよ!今度一緒に見ないかい??
いや・・・僕はいいかな・・・
目次
国道とは
何をもって国道というのか
そもそも国道がなにか知っていますか?
国道には一般国道と高速自動車国道があるのですが、この記事でいう国道は「一般国道」のことだと思ってください。
高速自動車国道はいわゆる「高速道路」ですね。
国道の定義は「道路法」という法律に定められており、詳しく言うととても難しいので簡単にいうと
すごく重要な道路!ってことです。
明確な基準が一応あるんだよって思ってもらえればいいと思います。
道路の案内表示を見ていると、逆おにぎり型で数字が囲われているのが国道です。
長けりゃいいってもんじゃない
最長の国道は国道4号線。
東京都の日本橋から青森市までをつなぎます。
昔の日光街道と奥州街道に該当する道で、その距離は838.6㎞。
ただ、国道になるには長ければいいのかというとそういうことでもありません。
最も短い国道は神戸市にある国道174号線。
神戸港のほど近くにある神戸税関前から国道2号線をつなぐ道路です。
その長さはなんと187.1mしかありません。
これは国道の定義の一つに「超重要道路と超重要港をつなぐ」というのがあるためと思われます。
距離の有無ではなく、「どこをつないでいるか」というところが非常に大事になります。
国道って長くて広い道路のことかと思ってたよ・・・
ちなみに車1台ギリギリ通れる程度の幅しかない国道や、舗装されていない国道もあるよ!
国道番号の振り方と欠番
国道の番号は何番まである?
現在、日本には、国道1号から国道507号までの番号が振られており、全部で459の国道があります。
数が合わない!ですよね。
実は
①59号~100号(計42)
②109号~111号、214号~216号(計6)
の国道は欠番になっていて、存在しません。
ではなぜ欠番なのでしょうか?
欠番の理由
欠番になっている理由は二つあります。
格が違う
国道に振られた数字が二けたの道路は58号までしかありません。
実は現行の道路法が施行された1952年当初、「一級国道」というものが決められました。
道路の中でも重要都市間をつなぐ道路が一級国道です。
これが最初に1号から40号まで割り当てられます。
そのあと、二級国道が決められるのですが、番号は41号からではなく、三桁の101号から割り当てられました。
その後、道路法が改正されるまでに一級国道は57号までが割り当てられ、二級国道は三桁の番号が割り当てられました。
一級国道と二級国道の制度は廃止されるのですが、その名残で59号から100号までが欠番なのです。
吸収組と昇格組がいる
109号~111号、214号から216号の6つの道路は、実は一級国道への昇格組か他の道路に吸収された道路なのです。
109号は108号の一部が一級国道に昇格したことに伴い、108号の残留組に吸収されます。
この109号だけが吸収されて消滅しました。
110号は48号に昇格
111号は45号に昇格
214号から216号は合体して57号に昇格
なんかめでたいですね!
三桁の道路でもかなり長くて大きい道もあるよね?
そうだね。一級国道と二級国道の区別がなくなったから、今後は二桁に昇格することもないかもしれないね!
ほとんどが海の上「国道58号」
最後の国道
国道58号が割り当てられたのは、1972年。
現在、二けた番号を当てられた最後の道路です。
ちなみに1972年という年号だけで道路の場所が分かった方、さすがです!
国道58号は鹿児島と沖縄を通る国道です。
そう、1972年は沖縄県がアメリカから返還された年ですね。
でも待ってください。
「鹿児島と沖縄をつなぐ道路?」
つながってねーよ!
海上にも国道がある
待ってください。
国道を走るのは車や人だけではないのです。
国道58号は海上区間があります。
この区間はフェリーなどの運行を想定されている海路です。
ちなみに、海上区間を持つ国道は日本中に結構あります。
では国道58号はどのように海を渡るのでしょうか?
国道58号のルート
国道58号は鹿児島市を出発しすぐに海上区間にでます。
到着するのは種子島。
すると種子島を縦断、再び海上区間にでます。
やってきました奄美大島。
また奄美大島を縦断し、海上区間に。
とうとう沖縄本島です。
沖縄本島をさらに到着し南下、那覇市の明治橋で終点を迎えます。
なんと総延長879.6㎞。
海上区間を含めた長さは国道4号を抜き、日本一なのです。
ただ海上が約600㎞ありますが・・・
海の上まで国道だとは・・・恐るべし・・・
他には新潟県の佐渡島の手前なんかも海上区間になるよ!
最後に
国道のいろいろ、いかがでしたか?
少し話はそれますが、昭和30年、アメリカのワトキンス調査団が日本の道路事情をこのように評しました。
「日本の道路は信じがたいほど悪い。工業国にして、これほど完全にその道路網を無視した国はない。」
日本は鉄道から発展した、というのもあるのですが、昭和30年の国道の舗装率はわずか13.6%。自動車の保有台数は約92万台でした。
そう言われるのも無理はないかもしれません。
そこから全力で道路を舗装し、高速道路を整備し・・・
平成21年には舗装率は91.2%、自動車保有台数は7900万台にもなりました。
急ピッチで進められた舗装事業は、日本の高度経済成長の基礎になったと言っても過言ではないでしょう。
道路には寿命があります。
みなさんが普段使う道で道路工事をしてたら
「なんでこんなときに道路工事してるんだよっ!!」って怒ってませんか?
みんなが使う道路のメンテナンスは必要なこと、あまりイライラせず待ってあげてくださいね。