地球最強の生物「クマムシ」~宇宙空間でも生き残る絶対的な耐久力~

皆さんは地球最強の生き物を知っていますか?
格闘技の世界チャンピオンでしょうか?
百獣の王ライオンでしょうか?
海の王者シャチでしょうか?
その可能性もあるかもしれません。
しかし、一部で地球最強の生き物は「クマムシ」であると言われています。
クマムシ??って思ったあなた!
ちょっと待ってください!
最初にお伝えしなければなりません。
「クマムシ」を画像検索する際はくれぐれもお気を付けください。
その個性的な見た目を苦手に感じる方もいるかもしれません。
苦手な方は一番上の画像を見てください。
クマムシのイラストになります。
名前や見た目は確かに強そうではあります。
今回はこのクマムシの生態や最強と言われる理由をお話ししましょう。
こぶた
えー??ライオンのほうが強いんじゃない??
ぶたちく先生
ふふふ・・・それはどうかな?まずはどんな生き物か見てみようか!

クマムシとは

クマムシって虫??

ゲームに出てくる敵のようなこの姿。
もし家の中にいたら・・・
ぞっとしますか?
クマムシという名前から、そこそこ大きくて狂暴な性格を想像するかもしれません。
でも安心してください。
サイズは0.05㎜から1㎜程度。肉眼で見るのはかなり難しいです。
そして虫ではありません!
クマムシという名前ですが、緩歩(かんぽ)動物という動物になります。
実は、クマムシはかなり身近に存在します。
皆さんの身の回りでは、池や道端にあるコケの中などにごく普通に生息しています。
眼はある種もあります。
4対8本の脚には関節がありませんが、先端に爪のようなものがあります。

クマムシの生態

先ほど、池やコケの中と書きましたが、基本的に場所は選びません。
山、ジャングルだけでなく、深海、鉱山、温泉の中、南極など場所を選ばずに生息しています。
有機性の液体や、動植物の体液を吸い取って食物としているようです。
生きるために水を必要とするのですが
かわいそうに・・・泳げません・・・
水があれば、川底や海底をのそのそと歩きます。
のそのそと歩く姿が熊のように見えるために「クマムシ」と呼ばれるようになったそうです。
こぶた
めちゃくちゃ小さいんだね!でも南極にもいるなんて・・・
ぶたちく先生
どんな生物かわかったところで、いよいよなぜ最強なのかを話そう

クマムシ最強説

クマムシがどんな生態かわかったところで、なぜクマムシは最強と言われるのでしょうか?
確かに南極に生息していたり、見た目のインパクトはありますが・・・
1㎜足らずの生き物が最強とはどういうことなのでしょう?

乾眠(かんみん)

まず、クマムシは代謝を完全に止めて、休眠状態になる、という特殊能力があります。
これを「乾眠」といいます。
クマムシは周囲が乾燥してくると、樽のように体を縮め、乾眠状態になろうとします。
乾眠するまでには必要な時間があり、種によっては30分で乾眠できたり、逆に48時間程度かけないと乾眠できない種もあります。
いずれにしても急激に乾燥すると死んでしまいます。
乾眠状態になった後は、水を得ると再び体が動くようになります。
一種の仮死状態ですね。
そして、この乾眠状態がクマムシが最強である秘密なのです。

クマムシの絶対防御

では乾眠状態になると、クマムシはなぜ最強になるのでしょうか?
乾眠状態のクマムシは以下のような防御力を持つと言われています。

①150度の高温から絶対零度まで耐えられる

人間が耐えられるのは摂氏50度からマイナス50度ほどです。
絶対零度とはこれ以上温度が下がらないと言われている温度で、摂氏でいうとマイナス273度。
冥王星ですら気温はマイナス220度です。
ちなみにクマムシは高温でも生きられますが、熱湯をかけたら死んでしまうのでご注意を・・・

②真空から75000気圧までの圧力に耐えられる。

人間とは比較にならないです。
例えば、水深1000メートルで101気圧。
実験の上では、人間は700メートルまで潜れるそうですが、それでも71気圧。
クマムシ凄まじいですね・・・
さらに真空状態でも生きられる生物
最強感が出てきましたね!

③高線量の放射線に耐える。

人間が耐えられる放射線量の約1000倍まで耐えることができます。
紫外線、エックス線、ガンマ線等あらゆるものに対応します。

④体内の水分を3%以下に抑えることができる。

これどれぐらいかというと、もう干からびてるレベルです。
人間は体内の水分の約20%を失うと死亡の恐れがあります。
ちなみに煮干しの定義は重さに対する水分が18%以下です。
スルメイカの干物は約20%以下。
3%のすごさわかりましたか?
こぶた
クマムシくん、君は最強だ!
ぶたちく先生
そうだね・・・でも、科学的にも不思議な部分が多いから、クマムシは色々な実験をされることになるんだ。

クマムシ宇宙へ行く

クマムシの耐久性には人間も興味を持ちました。
どんな過酷な状況でも生きられるのではないか?
もしかしたら宇宙でも??

フォトンM3

まずは、2007年に打ち上げられたロシアの科学衛星「フォトンM3」です。
クマムシついに宇宙に打ち上げられました。
この時の実験は、宇宙空間に10日間さらされるというものでした。
宇宙空間は真空であるほか、太陽からの強烈な紫外線を浴びることになります。
地球では大気が紫外線から地表を守っているのです。
乾眠状態のクマムシが宇宙空間にさらされた後回収され、水を与えると・・・
なんとクマムシは蘇生し、動き回るようになったのです!
そればかりか生殖能力も失っていませんでした。
もちろん、蘇生しなかったクマムシもいるので、全て生存というわけにはいきませんでしたが、生き残ったクマムシがいたのです。

月探査機「ベレシート」

次は、2019年に打ち上げられたイスラエルの月探査機「ベレシート」です。
フォトンM3と同じように今回もクマムシが載せられて、次は月に向かいます。
しかし、このべレシートは月に着陸できず、墜落してしまいます。
墜落したのは月面・・・
ふと思いませんか?
クマムシ生きてるんじゃない?
これは学者たちも焦りました。
もともと生物がいないところに生物が居ついてしまったら・・・
万が一のことですが、いつか宇宙で見つかった生命体が地球由来の生物か、宇宙の生物かわからなくなる可能性があるのです。
それだけではなく、クマムシそのものが宇宙に何か影響を与えるかもしれません・・・
ここである実験を行います。
墜落時、ベレシートはおよそ秒速900メートルで月面に激突したと考えられます。
同じ状況でクマムシが生き延びるか実験すればいいんだと。
どうするか?
ガス銃の弾にクマムシをいれて、打ち出すのです。
結果、秒速728メートルではすべてのクマムシが生きていたものの、秒速900メートルではすべてのクマムシは死んだそうです。
それだけでなく、クマムシは乾眠状態で宇宙に行っているため、水分のない月で蘇生することはありません。
これらの実験を踏まえ、ベレシートのクマムシは墜落時にすべて死滅したと判断されました。
こぶた
なんか、クマムシ君がかわいそうになってきたよ・・・
ぶたちく先生
科学の進歩のための犠牲だ・・・この実験が世界にとっていい結果をもたらすよう祈るしかできないね・・・

最後に

地球最強の生物「クマムシ」いかがでしたか?
クマムシの強さは攻撃性ではなく、その耐久力にありました。
クマムシの先祖は約5億年前のカンブリア紀から発見されています。
実は、乾眠した後に水を得ると復活するのですが、今まで通りというわけにはいきません。
以前より耐久力が下がったり、すぐ死んでしまったりする例もあるそうです。
もしかしたら、クマムシの乾眠は絶滅の危機になっても子孫を残すための最終手段なのかもしれません。
「強い者が生き残るのではなく、環境の変化に適応した者が勝つ」と耳にしたことがあります。
この先、生物が地球から絶滅してしまうような時が来るとすれば、クマムシは地球最後の生物になるのかもしれません。
クマムシの見た目が無理だと思ったあなた!
いまならかわいいと思えるかもしれませんよ!