天王星~太陽から遥か彼方でなぜか横倒しで自転する氷の大惑星~

2022年11月8日、皆既月食と天王星食が同時に見られるとのこと。
月食は太陽と月の間に地球が入り、月が地球の影に入るために起きる現象です。
これに対して惑星食は、月の影に惑星が入り、惑星が見えなくなる、という現象です。
今回は天王星が月の裏に入るので「天王星食」と呼ばれています。
でも天王星って皆さん馴染みがないですよね。
おなじみの「水金地火木土天海」だから、遠いよねっていう感じぐらいでしょうか。
今回は天王星についてまとめてみました。
こぶた
名前がかっこよくて、地球からだいぶ遠いっていう印象かな!
ぶたちく先生
わかっていないことだらけだけどね・・・できるだけ説明してみるよ!

天王星とは

太陽系第7惑星

天王星は太陽系の第7惑星です。
「太陽系」というのは、太陽の周りを公転する惑星の総称です。
第7惑星とは太陽から近い順に7番目の惑星、ということになります。
ちなみに地球は太陽系の第3惑星になります。

太陽系における分類

太陽系の惑星は3つに分類されます。

地球型惑星

地球型惑星は主に岩石や金属で構成される惑星で、水星、金星、地球、火星がこれに該当します。

木星型惑星

木星型惑星は主成分がガスで構成されており、密度が小さいのが特徴です。
通称「ガスジャイアント」
木星・土星がこれに該当します。

天王星型惑星

天王星型惑星は、主成分が水や氷でできています。ガス成分もあるため木星型惑星と区分されていましたが、ガス成分が比較的少ない天王星と海王星だけ別の区分とされたのです。
通称は「アイスジャイアント」です。

天王星の特徴

結構大きい

天王星と地球を比べてみましょう。
まず半径は天王星は地球の4倍。
質量は地球の15倍あります。
太陽系の中では木星、土星に続く3番目の大きさ。
質量は木星、土星、海王星についで4番目の重さになります。

遠くて横倒しになっている

地球と太陽の距離を1とした場合に、地球と天王星は約19の距離にあり、かなり太陽から遠くにあります。
地球は1年間で太陽の周りを1周しますが、天王星は約84年かけて太陽を1周します。
基本的に肉眼で見るのは難しいのですが、地球に最も接近するときには肉眼で見えることもあります。
特徴的なのは自転軸の傾きです。
地球の自転軸が23.4度傾いているのに対し、天王星は約98度傾いています。
ほぼ横倒しで自転していることが分かりますね
ただ、天王星が横倒しに自転する原因についてはいまだ分かっていません。
こぶた
回転する方向が縦向きなんだね・・・
ぶたちく先生
天体の衝突で傾いたとも考えらるているけど、明確な答えにはたどり着いていないんだ・・・

発見されたのは18世紀

発見

天王星が発見されたのは1781年、イギリス人のウィリアム・ハーシェルが発見しました。
ただし、天王星そのものはもう少し前から観測されたとされています。
しかし、惑星と認識されていなかったのです。
当初、ハーシェルも天王星が惑星ではなく彗星ではないかと考えました。
しかし、他の天文学者が計算した結果、惑星であることを突き止め、ハーシェルもこれを認めたのです。

命名

当初はイギリス国王のジョージ3世にちなんだ名前で呼びましたが、広まりませんでした・・・
そうこうしている間に広まった名前が「ウラヌス」です。
ウラヌスはローマ神話やギリシャ神話では「天空の神」のこと。
ウラヌスという名前は瞬く間に広がりました。
この天空の神というのを天空の王と読み替えたため、日本では天王星と呼ばれるようになったのです。
こぶた
ジョージ3世の名前なんで広まらなかったのかな・・・
ぶたちく先生
どうしてだろうね・・・

ボイジャー2号の探査

ボイジャー2号の到達

天王星は1781年に発見されましたが、ほとんど望遠鏡での観測しかできませんでした。
現在に至るまで、天王星を観測したのは「ボイジャー2号」ただ1機だけです。
ボイジャーは1986年1月24日に天王星に最接近します。
その際に撮影された天王星の写真はピンポン玉のようにきれいな見た目をしています。
天王星がピンポン玉のように見えるのは、雲が少ないからです。
これは自転軸が横倒しになっているため、昼夜の温度差がほとんどないため雲ができにくいです。

衛星

天王星の衛星はそれまで5個しか見つかっていませんでしたが、ボイジャーはさらに10個の衛星を発見しました。
「衛星」とは地球の周りを公転する天然の天体のことです。
人工物で地球を公転する天体は「人工衛星」といわれますね。
地球の衛星は月しかありません。
しかし、天王星には名前がないものも含めて27個の衛星があります。
この衛星の数も木星、土星につぐ3番目の数です。

天王星の環

天王星も土星と同じような環があります。
1781年に天王星を発見したハーシェルも環を観測したことが伝わっていますが、現在地球から観測するのはほぼ不可能です。
土星の環が1憶年以内に消滅することから、ハーシェルが発見してから200年の間に環が薄くなってしまったとの見方もあります。
逆に言えば200年しか経過していないので、ハーシェルは観測できていなかったのでは、とも考えられています。
ただ、この環を構成する岩石がもともとどんなものだったのかまではわかっていません。
こぶた
惑星の環も性質が違うんだね!27個も月みたいなものがあったら、夜空はどんな感じだろうね?
ぶたちく先生
すごくロマンがあるよね!いつか探査機が天王星から見える空を撮影してくれるかもしれないね!

最後に

いかがでしたか?
地球に近い火星のことでもわからないことだらけの中、天王星などさらにまだわかっていないことばかりです。
今回は、皆既月食と天王星食が同時に起こるのは442年ぶりのことです。
見れない方、見れなかったという方、天王星食も皆既月食もそこまで珍しいことではありません。
今回は同時に起こるのが珍しいというだけです。
天体を身近に感じられる機会ですので、皆さんぜひ見てみて下さいね!
参考記事