「太陽の寿命とその最期」で恒星には寿命があると書きました。
そして質量の大きな恒星が寿命を迎える時、超新星爆発という大爆発を起こすとも・・・
最初に言っておかなければならないのは、太陽は恒星の中で決して小さい部類ではありません。
ただ、太陽より大きい恒星がたくさんあることも事実です。
では太陽よりも大きな恒星が起こす「超新星爆発」とはいったいどんなものなのでしょうか。
地球が影響を受けることはあるのでしょうか?

超新星爆発という名前からもとんでもない爆発のような気がするよ

その想像は当たっているよ!では少し恒星についておさらいしよう!
目次
恒星についておさらい
最初に恒星についておさらいしましょう!
もうわかってるよ!って方は読み飛ばしてくださいね!
恒星が光を放つ理由
恒星とは、自ら光を発する星のことです。
われわれの一番身近な恒星は太陽ですね。
ではなぜ恒星はなぜ光るのでしょうか。
答えは、太陽を構成するガスが核融合を起こしているからです。
恒星の寿命
恒星は、核融合を起こし続けています。
逆に言えば、核融合の燃料となるガスが無くなってしまうと、核融合反応が起きなくなるのです。
例えば、太陽ぐらいの質量の場合、太陽の内部で水素が枯渇すると、外部のガスを核融合させ太陽が膨張。
周辺の惑星を飲み込みながら、重力を失った太陽のガスが宇宙空間に拡散します。
最終的に、太陽の核だけが残るのです。
これが太陽が寿命を迎えた場合の流れでした。
詳しくはこの記事で!「太陽の寿命とその最期」

地球は最終的に膨張した太陽に飲み込まれるんだったね!

その通り!では次に超新星爆発について考えてみよう!
超新星爆発
太陽は私たちにとっては大きな星ですが、超新星爆発を起こしません。
なぜ質量が大きな恒星は超新星爆発をおこすのでしょうか?
超新星爆発のしくみ
では、超新星爆発はどのように起きるのでしょうか。
核融合を起こしながら光を放ち、最終的に恒星内部で核融合の燃料がなくなる、というところまでは同じです。
しかし、超新星爆発を起こす恒星は、ここから別の現象が起きます。
恒星内部で、核融合が起きている間は、巨大なエネルギーが中心から外側に向かって発生しています。
一方で、恒星の中心は重力を持っているため、内側に向かう力も同時に発生しているのです。
この内向きの重力と外向きのエネルギーが釣り合っているのが通常の状態です。
しかし、恒星内部の核融合が終わると、外向きのエネルギーがなくなります。
一方で巨大な重力はそのまま・・・
結果として、中心部が重力崩壊を起こし、凄まじい大爆発を起こすのです!
ちなみに超新星爆発を起こすのは、太陽よりも8倍以上質量の大きい恒星と言われています。
これが大きな恒星が超新星爆発を起こすメカニズムなのです。
超新星爆発を起こすとどうなるか
では超新星爆発を起こすとどうなるのでしょうか?
超新星爆発が発生すると、強烈なガンマ線が降り注ぎ、
半径5光年以内の惑星表面の生命体は全滅
半径25光年以内の惑星に住む生命体は半数が死滅
半径50光年以内の惑星に住む生命体は壊滅的打撃
地表をガンマ線が覆い、生命体はまず住めない状態になると言われています。
凄まじい規模ですね・・・

半径5光年内・・・規模が大きすぎる・・・

しかも生物が全滅だからね・・・ただ地中内のバクテリアなどは生き延びると言われているよ
ベテルギウス
周囲の星の生命を無に帰す超新星爆発。
では、地球の周囲で超新星爆発を起こす星はあるのでしょうか?
ベテルギウスの寿命が近い
冬の大三角形を作る星の一つ、ベテルギウス。
オリオン座の右肩部分です。
地球からの距離は640光年ほど。
ベテルギウスは恒星で、めちゃくちゃデカいです。
一般に、恒星の寿命は質量が大きければ大きいほど短くなります。
そう、ベテルギウスの寿命はとても短いのです。
太陽の寿命100億年に対して、ベテルギウスの寿命は1000万年と言われています。
そして、ベテルギウスはすでに寿命の99.9%を経過しており、いつ寿命を迎えてもおかしくないのです。
そしてベテルギウスの質量は太陽の約20倍。
つまり、超新星爆発を起こします。
地球近辺で現在超新星爆発が心配されるのがこのベテルギウスなのです。
ただ、今見えているベテルギウスは640年前の姿なので、もう超新星爆発は起きているかもしれません・・・
ベテルギウスが超新星爆発したら
ベテルギウスは現在赤色巨星という恒星の末期の状態にあります。
では、ベテルギウスが超新星爆発を起こすと地球はどうなるのでしょうか。
安心してください。
地球からの距離が離れているため、地球のオゾン層を破壊して地球上の生物に影響を与える可能性はほとんどありません。
ガンマ線が到達しても、オゾン層に傷がつく程度と考えられています。
地球から見ると、ベテルギウスは超新星爆発後、満月の100倍ぐらいの明るさになります。
昼間でも4か月ぐらいははっきりと見えるとのこと。
その後徐々に暗くなっていき、4年後には完全に見えなくなります。
こうして、オリオン座が形を変えて、冬の大三角形もなくなってしまうのです。

昼間でも星が見えるって相当明るくなるんだね!オリオン座の名前はどうなるんだろう・・・

満月の100倍だからね・・・実は大昔に日本人で別の超新星爆発を目撃した記録があるんだ!
平安時代に見られた超新星爆発
鎌倉時代の歌人・藤原定家(ふじわらのていか)は新古今和歌集の選者の一人です。
その他、藤原定家は源氏物語や土佐日記の研究なんかも行いますが、「明月記」という日記のようなものを付けています。
陰陽師とも親交があった藤原定家は見聞きした天文の記録も残しています。
その中に、1054年5月下旬「客星が現れた」と記載があるのです。
この客星は超新星爆発した恒星のことで、その残骸は現在「かに星雲」と呼ばれています。
つまり、1054年に超新星爆発を起こした星があり、それを観測した日本人がいるのです。
1054年に藤原定家は生まれていないので、確実に伝聞記録なのですが日本人が超新星を見たというのは間違いないでしょう。
1054年は東北で「前九年の役」と呼ばれる戦の真っただ中。
戦場でもひときわ輝く星を見た人は多いかもしれません・・・

1000年近く前の記録があるなんてすごいね!

ここまで古い超新星爆発の目撃記録は世界的にも珍しいんだ!
最後に
天文ファンは超新星爆発が起きるのを楽しみにしている人も多いです。
超新星が見られるのは、銀河のなかで50年に1個程度。
とても珍しい出来事なのです。
しかし、もしベテルギウスの近くに生命体がいるような星があったら・・・
その星の住人たちはめちゃくちゃ慌ててるかもしれませんし、絶望しているかもしれません・・・
超新星爆発を見られないことは、不運ですが、時として幸運なことなのかもしれません。