しっかり睡眠ハッピーライフ①~なぜ必要なのか?睡眠の役割と睡眠不足の恐怖~

皆さんは毎日ちゃんと睡眠をとれていますか?
人間の一生を80年とした場合、そのうち27年程度を睡眠で過ごします。
忙しくなればなるほど、睡眠時間を削って対応しがちですよね。
ちなみに日本は世界一眠らない国
労働時間が多く、まじめで勤勉なことが裏目に出てしまったのでしょうか。
しかし、ご存じのとおり睡眠はとても大切なもの。
睡眠は人間の自然免疫を強化し感染症から守るだけでなく、人体に様々な良い影響を生み出します。
睡眠不足になるとホルモンバランスが崩れるから太るんだ、とする説まであります。
今回は、睡眠について勉強し、どんな睡眠がいいのか、なぜ睡眠が大事なのかについて学んで頂ければと思います。
こぶた
長く寝ると少しもったいないって思っちゃうんだよね・・・
ぶたちく先生
気持ちはわかるんだけどね・・・健康に生きることが一番時間を有効に使えるんだって認識することも大切だよ!

睡眠時間について「何時間寝ればいいの??」

ある調査では、東京の人の平均睡眠時間は6時間弱
みなさん忙しい中、頑張って睡眠時間を作っているのかもしれませんが、一体どの程度寝ればいいのでしょう。
個人差はあるものの約7時間から8時間程度は確保したいところです。
まずは睡眠時間について、最近常識が変わったことも含めてお話ししましょう。

90分の倍数寝ればいい??

「レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)は交互に繰り返されていて、その周期が約90分だから睡眠時間を90分の倍数にすればすっきり目覚める。」
こんな話を聞いたことあるかもしれません。
実は私も聞いたことがあります。
しかし、この考え方は今では正確ではありません。
ノンレム睡眠の始まりからレム睡眠の終わりまでを「睡眠周期」といいます。
この睡眠周期は、実際はきっちり90分ではなく個人差があります。
80分の人もいれば、120分の人もいるなどばらつきがあるのです。
また、睡眠周期は健康状態によっても変わるため、一概に90分の倍数であればいいとはいえないのです。
すっきり目覚めたければ、睡眠周期を気にするのではなく、根本的な睡眠の質を上げて、自然に目が覚めるようにするのが重要です。

寝すぎがいいわけでもない

短い睡眠がダメなら、睡眠は長ければ長いほどいいのでしょうか?
みなさんの中には「いくらでも寝られるよ!」みたいな人もいらっしゃると思います。
しかし、睡眠は短いのはもちろんダメですが、長すぎるのもよくないのです。
長く寝すぎる人は体内時計のリズムが乱れてしまいます。
その他、活動量が低下し、肥満や心臓病などのリスクが高まることがわかっています。
実際に、毎日9~10時間寝る人は、短時間睡眠の人と同じぐらい死亡率が高いという実験結果があります。
もちろん疲労しているときや、体質によっても違うので一概には言えません。
しかし、「長く寝ることがいいわけではない」ということは理解しておきましょう。
ちなみに、赤ちゃんや思春期に満たない子供がよく寝るのはもちろん別の話です!

ショートスリーパー

睡眠時間がとても短くても大丈夫な人たちがいます。
ショートスリーパーと呼ばれますが、その人たちは睡眠が3時間から4時間でも平気と言われています。
有名人では、モーツァルト、エジソン、野口英世などがそうだったと言われています。
身近な有名人では、明石家さんまさん武井壮さんなどもショートスリーパーと言われています。
しかし、ショートスリーパーは少し特殊な遺伝子を持つ人たちです。
そして、ショートスリーパーの遺伝子をもつ確率は全体の1%未満と言われており、かなり珍しい存在です。
ちなみに、物理学者のアインシュタインや野球選手のイチロー、F1ドライバーのミハエル・シューマッハは睡眠時間が9時間以上のロングスリーパー。
睡眠時間が短いと、活動時間が増えるから成功者になりやすいと言われがちですが、そんなことはないので、皆さん無理せずしっかり寝て下さいね。
こぶた
長く寝るタイプの人もいるんだね!
ぶたちく先生
大事なのは自分に合った睡眠時間の確保だね!

睡眠不足は恐ろしい

とはいうものの、時間に追われる現代人。
睡眠時間は足りない人の方が圧倒的に多いように思われます。
では、睡眠不足は免疫力の低下の他、どのような影響を及ぼすのでしょうか?

睡眠は借金という考え方

睡眠不足のことを「睡眠負債」ということがあります。
これは、本来一定時間の睡眠時間を必要とする人間が、睡眠時間が短くなることで不足が生じ、睡眠不足が蓄積していく、という考え方です。
単純に足りないというだけではなく、蓄積されているということにつき警鐘を鳴らしているのですね。
研究によれば、6時間睡眠を2週間続けたグループは、二晩徹夜したグループと同程度にまで脳のパフォーマンスが低下したそうです。
それだけでなく、睡眠負債がたまると、睡眠欲も強くなります。
平日睡眠時間を削っている人が、休みの日に長時間睡眠するのもこの影響と考えられます。
しかし、蓄積した睡眠負債のごく一部を返済しているにすぎません
一度蓄積した睡眠負債を返済することは簡単ではないのです。
ちなみに、よく言われる「寝溜め」
明日寝る時間がないから今日寝ておこう、という睡眠貯金はできません。
毎日、しっかりと睡眠をとることが大切なのです。

マイクロスリープ

睡眠負債の恐ろしさは、日常生活の様々な面でも顔を覗かせます。
ある調査結果では、夜勤明けの医師は本人も認識できないほどの瞬間的な居眠り(マイクロスリープ)をしていることがわかっています。
マイクロスリープは自分では眠っている認識がないのに、目を開けたまま眠ってしまっているという恐ろしい現象です。
マイクロスリープは、1秒たらずの瞬間的なものもあれば、10秒程度継続することもあります。
みなさん、考えてみてください。
車の運転中にマイクロスリープが起きてしまったら・・・
わずか数秒とはいえ、車は何十メートルも走ってしまいます。
そのとき、通行人がいたら・・・
取り返しのつかないことになるかもしれません。
実は、睡眠負債を抱えた状態での運転は、アルコールや薬物摂取時の運転と同じくらい危険だと言われています。
睡眠不足と思ったら車の運転は絶対に控える様にしましょう。
こぶた
マイクロスリープが危ないのは車の運転だけじゃない・・・絶対に気をつけないと・・・
ぶたちく先生
心当たりがある人は意外と多いんじゃないかな?今はたまたま何も起こってないだけ、気をつけよう・・・

睡眠の役割

そもそも睡眠はどうして必要なのでしょう。
動物も人間も睡眠しますが、生活の上では睡眠などないほうがいいのでは?
その疑問にお答えするため、睡眠の役割、睡眠がどうして必要なのか、についてお話ししましょう。

脳を休ませる

人間の脳は毎日膨大な量の情報を処理し、ストレスを感じ、思考をしています。
人間の脳も疲労するのです。
睡眠は脳を休ませる役割があります。
それでも、睡眠中に脳はずっと休んでいるわけではありません。
睡眠の深いノンレム睡眠の状態では脳は休んでいますが、睡眠の浅いレム睡眠の場合は、脳は休んでおらず活発に活動しています。
つまり、睡眠によって、脳をしっかりと休ませる場合は、睡眠の深いノンレム睡眠をしっかりととることが重要なのです。
睡眠が不足し、十分なノンレム睡眠がないと、人間は判断能力が低下し、体調も悪化する可能性があるのです。

自律神経を整える

自律神経は、人間の体の内臓、体温、代謝の調整を24時間休むことなく行っています。
自律神経には交感神経副交感神経があり、どちらかを優位にしながら常に活動しています。
交感神経が優位になると、血圧があがり、筋肉や心臓の動きが活発になるため、脳も肉体もアクティブな興奮状態となります。
一方、副交感神経が優位になると、血圧が下がり、体の動きや呼吸が穏やかになります。
通常、人間の体は日中は交感神経が優位になり、食後や睡眠中は副交感神経が優位になるよう自然に切り替わっています。
しかし、現代人は常に緊張やストレスを感じているため、交感神経が優位な状態が続くことが多く、人間の体が疲れやすい状態になっています。
睡眠には、交感神経を弱めて副交感神経優位の状態にする役割があります。
その結果、体のオンオフをうまく調整することができるのです。

記憶を定着させる

日々入ってくる膨大な情報。
脳はそのうち必要な情報のみを「海馬」という部分に一旦保管します。
その後、さらに整理し、「大脳皮質」という部分で固定された記憶となります。
この海馬から大脳皮質への情報の伝達、これが眠り始めの深いノンレム睡眠の時に行われている、と言われています。
蛇足ですが、この情報の伝達の際に脳内で映し出されるのが「夢」ではないかとの説もあります。
一方、レム睡眠の時には、自分の経験を別の記憶と関連付けたり、いつでも引き出せるように記憶の整理をしています。
これが睡眠中も脳が働いている、ということなのです。
脳が静かに記憶の整理をするため、しっかりとした睡眠が必要なのです。
こぶた
脳はいつも頑張っているんだね・・・
ぶたちく先生
そのとおり!睡眠は人が生きていくために欠かしてはいけないものなのだ!