人間の脳は約1.2㎏~1.5㎏。
二足歩行をすることで人間はより大きな脳を手に入れました。
そして言葉を操ったり、道具を操ることで発展してきました。
ちなみに、二足歩行する動物がみな大きな脳を持つわけではありません。
その一つが今回取り上げるダチョウです。
ダチョウのイメージといえば、
足が速くて
飛べなくて
卵が大きい
そんな感じでしょうか。
しかし、大きな体にも関わらず、ダチョウの脳はとても小さいです。
そのためか、ダチョウは時に不思議で、可愛らしい行動を見せてくれます。
今回はそんなダチョウの性質や、現在期待されている医療への利用についてまとめました。
ダチョウの脳ってそんなに小さいの??
そうなんだ、まずはダチョウの生態から見ていこう
目次
ダチョウとは
ダチョウはアフリカ大陸に生息する、最大の鳥類です。
サバンナや砂漠に住んでおり、体の大きさは2m以上、体重は100キロ以上にもなります。
オスの羽は黒く、翼の先と尾が白いのに対し、
メスの羽は茶色や灰色です。
ご存じのようにダチョウは「飛べない鳥」の一種です。
しかし、恐竜が生きていた頃には、ダチョウは空を飛んでいたと考えられています。
恐竜の絶滅により、
地上で捕食される危険性が低くなった
地上の方が食べ物が豊富だった
以上の理由から飛ばないようになったと考えられています。
昔は飛んでたんだね!
時代の変化に合わせて、地上での生活を選んだんだ
動物の常識を覆すダチョウ
ダチョウの脳は40グラムと非常に小さいです。
そのためかはわかりませんが、動物的にかなり特殊な行動をとることがあるのですが、これを単純にバカだととるか、独自の性質を持ったと考えるかは難しいところです。
その一例をご紹介しましょう。
自分の家族がわからなくなる
通常、ダチョウは群れを作って生活しています。
繫殖期にはオス同士が争うことがあるのですが、その時に二つの群れがパニックになったとしましょう。
喧嘩を終えて、それぞれの群れに戻ったら
なぜかメスや子供たちが入れ替わっていることがあるそうです。
数の判別ができないため、子供たちの数が増えていても、減っていてもわかりません。
全く何の違和感もなく、よその子どもたちを育て始めるそうです。
もちろん子供たちもどれが親のダチョウかわからないのです。
ちなみに、同じ鳥類で飛べないペンギンは、自分の家族を判別できない、ということはありません・・・
何も考えずに行動する
ダチョウの群れでは、特にリーダーなどがいるわけではありません。
しかし、群れの1羽が走り出すと、他のダチョウもみんな走り出します。
気まぐれで1羽が走り出すと、みんなわけもわからず走り出すのです。
2022年に中国で農場のダチョウが集団で大脱走し、町を疾走するという事件が起きたのですが、これもダチョウの習性と考えられます。
後に述べますが、ダチョウは持久力もあるので大変だったと思います。
この習性は、敵に襲われたときに仲間が一目散に逃げるためなのかもしれませんが・・・
もしかしたら使い分けができないのかもしれませんね。
家族が入れ替わっていてもわからないの??
そうなんだ・・・でも逆を返せばよその子でも育てるから、種全体としては決して悪いことではないんだ!
ダチョウのすごいところ
ここまではダチョウの少しマヌケなところをクローズアップしました。
しかし、ここからはダチョウのすごいところをお話ししましょう!
二足歩行では最速
皆さんもイメージがあるかもしれませんが、ダチョウは走るのめちゃくちゃ速いです。
地球上の二足歩行の動物では最速、最高速度は時速60キロにもなります。
しかも驚くべきはその持久力。
最高速度で30分以上走ることが可能です。
ちなみに二足歩行で次に速いのは人間で、時速40キロから45キロ。
もちろん、人間はそのスピードで30分も走れません。
この持久力があるので、ダチョウがサバンナでチーターなどに追っかけられても逃げ切ることができるのです。
すごいキック力
ダチョウのキック力は4.8トンといわれています。
ピンとこないと思いますが、人間の格闘家のキック力は約1トンといわれるので、非常に危険です。
キックされると人間はもちろん吹き飛ばされます。
それどころかライオンも吹き飛ばされます・・・
ただ、前方向しか蹴れないので、ダチョウに近づいても前には出ないようにしましょう。
視力がいい
ダチョウの眼球は直系5センチ以上、60グラム程度といわれています。
これは陸上生物最大の大きさです。
ちなみにダチョウは脳よりも目の方が大きい変わった動物なのです。
視力が非常によく、10キロ先まで見えます。
また、40メートル先のアリまで判別できるともいわれており、これもサバンナでいち早く敵を見つけるのに適しています。
ダチョウは頭はアレでも体力的にはすごいんだね!
そうなんだ!だから生き残るために体力や逃げ切る力に重きを置いたのかもしれないね
医療
そもそも免疫力が高いダチョウ
ダチョウはけがをしても回復が非常に早いです。
これは単純に回復力の話ですが、その傷から感染症になることも少ないです。
ダチョウの体にウイルスが侵入すると、ダチョウの体は即座に反応し、抗体を作り出します。
この結果、けがや病気が早く治るのです。
ダチョウは鈍感で、大けがをしていても餌を食べ続けるそうなのですが、もしかしたらこの回復力に裏付けられた自信なのかもしれません。
ダチョウを利用して抗体を作る
近年、ダチョウの免疫力の高さを生かして、人間の医療に応用する動きがあります。
ダチョウが抗体を即座に作り出すことを利用して、母ダチョウに抗原を入れて、抗体を作ってもらう。
そうすると母ダチョウは抗体入りの卵を産みます。
その卵の卵黄には抗体が含まれているので、それを利用しようというのです。
通常、抗体はマウスやウサギなどで生成されています。
しかし、例えばマウスは血液量が非常に少ないため、1個体から採取できる抗体も少なくなります。
一方、ダチョウの卵はめちゃくちゃでかいので、1個体から数グラム、抗体入りマスクにして8万枚が作れるそうです。
このダチョウから作る抗体で、アトピー、がん、歯周病、花粉症の治療のみならず、薄毛対策商品や、化粧品も計画されているそうです。
すごい!たくさんの分野で可能性があるんだね!
そうなんだ!すでに商品化しているものもあるから、一度試してみてもいいかもしれないね!
最後に
いかがでしたか?
われわれ日本人は動物園などでしか見かけることがありませんが、ダチョウの性質やマヌケでかわいいところもわかってもらえたかと思います。
進化する過程で環境に適応してきた結果なのか、それとも単純にマヌケなのかは私には判断つかないです・・・
それにしても、医療の分野でダチョウのお世話になることがあるとは、ビックリです。
今回の記事は通称「ダチョウ博士」と呼ばれる塚本康浩博士の書籍を参考にしました。
塚本博士の書籍は分かりやすく平易な文章で書いてくださっているので、楽しく読めると思います。
ダチョウについてもっと知りたいと思った方はぜひ読んでみてください!