年賀状「減少する正月の風物詩」~時代と共に変わっていく年始の挨拶~

皆さん、今年のお正月は年賀状を送りましたか?
年賀状の発行枚数は、ちょうど20年前の2003年用の約44億枚がピーク
しかし、その後徐々に減少が進み、2023年用の発行枚数は約16億枚
発行枚数的に3分の1近くにまで減少しました。
少し前までは年末に宛名を必死で書きまくるのが風物詩でした。
今では表面も裏面もパソコンが仕事してくれてとても簡単になったのに、枚数が減るというのは皮肉な感じがします。
今回は年賀状の歴史などについて取り上げてみました。
こぶた
実は年賀状はほとんど書かないんだ・・・LINEとかで済ませちゃうかも・・・
ぶたちく先生
実は僕も今年から送るのを止めたんだ!でも減っていくのはさみしい感じはするよね・・・

年賀状の起源

まずは年賀状の始まりに迫ってみましょう。

年賀状は日本の伝統のような感じもしますが実際はどうなのでしょうか?

文書での年始挨拶

明治に郵便制度が始まるよりもずっと前、奈良時代にさかのぼります。
既にこのころ、新年の挨拶回りをする習慣が日本にはありました。
起源ははっきりしませんが、もともとは農村部で親族たちが新年に本家に集まって挨拶をしていたのが始まり、と言われています。
この習慣が平安時代になると貴族や公家にも広がっていきます。
貴族や公家ともなると人間関係も多くなり、場所的に遠方の人もいます。
そうなると遠方の人にまで挨拶に回るのも難しくなってきます。
その結果、代替手段として文書による年始挨拶が行われるようになったのです。
こぶた
最初は物理的に年始の挨拶が難しい人に対する文書だったんだね!

飛脚制度が充実

江戸時代になると、五街道や宿場というインフラが整備され、それと共に飛脚制度が充実します。
飛脚制度の充実は、遠方だけでなく、市中を回って配送をする飛脚も登場させます。
これは年始の挨拶にも影響を与えました。
今まで年始の挨拶周りをしていた人々も書状で挨拶を済ませる、という人が増えたのです。
だんだん今の年賀状のようになってきましたね。
ぶたちく先生
お正月にみんなが挨拶回りで走りまわるのも大変だし、気も遣うよね・・・

文書での挨拶を支えた江戸の識字率

実は、江戸時代に年賀の挨拶を書状でするようになった背景には日本の特徴がありました。
それは日本人の識字率です。
同時代のイギリスで識字率は約1割程度、フランスなどではもっと低かったという時代に、日本の識字率は少なくとも7割以上。
武士に至っては100%でした。
これは庶民も寺子屋で読み書きを学んでいたことが影響しています。
当たり前のようですが、当時は世界的にみても非常に珍しいことでした。
手紙を書けるのも読み書きができるということが大前提。
年始の挨拶を書状でする文化も、決して簡単にはできないことなのです。
こぶた
そう聞くと挨拶を手紙で書くってすごく知的な感じがするよ!
ぶたちく先生
幕末にペリーが来航したとき、庶民も読み書きができることにとても驚いたらしいよ!

郵便制度の始まり(明治)

1871(明治4)年ついに郵便制度が開始します。
1873年にはついにハガキが発行。
全国一律で手紙を送ることができる、これはとても画期的なことでした。
特に、ハガキでの郵便は安価に送ることができるので、ハガキで年始の挨拶を送る習慣が急速に広まり、明治20年頃には国民の年中行事して定着します。
ちなみに、この頃、まだ年始の挨拶状は正月を迎えてから書くものでした。
これが明治後期になると、1月1日の消印を押してもらうために12月終盤に年賀状が集中するようになります。
そのため、年末の郵便局の郵便取扱量は爆発的に増加。
これでは経済活動に影響を与えかねない、ということで12月20日から30日に出せば1月1日の消印を押すという特別扱いが始まります。
その後、第二次大戦中は年賀状は急減するものの、戦後、画期的な商品が登場します。
それはお年玉付き年賀はがき。
お年玉付き年賀はがきは現在も続いていますが、始まったのは1949年のことです。
これが大ヒット。
こうして今の形の年賀状になったのです。
こぶた
年賀状が始まったのは明治か・・・でも郵便制度がないとできないから当たり前だね・・・
ぶたちく先生
それでも100年以上の歴史はあるからね!今の年賀状も時代とともにできた習慣なんだよ!

喪中

年賀状があるからこそ重要な意味を持つ喪中はがき。
喪中はがきが来たら「出さないように気をつけないと!」と思う方も少なくないはず。
でも具体的に喪中はがきってどんなルールがあるのでしょうか?

喪中はがきの意味

その年に身内に不幸ごとがあり、めでたい気持ちで新年を迎えられない。
そんな時に使うのが喪中はがきです。
これは、「例年なら年賀はがきを送っているけど、今年は送らないですよ」
という案内です。
だいたい11月くらいに送る方が多いですが、場合によっては年始に「寒中見舞い」という形で送ることもあります。
ちなみに、喪中はがきをもらった方に年賀状を出してしまっても問題ありません。
喪中はがきはあくまでも「自分が年賀状を送れないこと」を詫びるものだからです。
こぶた
そうなんだ!喪中はがきをもらった人には送っちゃだめだと思ってたよ!

喪中の定義

ではどこまでの身内に関する不幸ごとが喪中になるのでしょうか。
これには明確な定義はありません。
喪に服するのはあくまでその人の気持ち。
一般的には二親等以内の親族について不幸があったときと言われています。
二親等とは、自分から見て、配偶者、両親、祖父母、兄弟姉妹、子供、孫があたります。
しかし、自分にとって重要な人であれば、親族関係が遠かったり、親族関係でない場合でも喪に服する場合もあるでしょう。
なので、実際にあまり固く考えなくても大丈夫です。
こぶた
自分がめでたい気持ちで新年を迎えられるかどうかなんだね!
ぶたちく先生
いつも来る年賀はがきが来ないと、心配したり気分を害する人もいるかもしれないからね!

世界の年賀状事情

日本以外で年賀状を送る文化はあるのでしょうか?
中国、台湾、韓国などは年賀状によく似た文化があります。
しかし、送るのは元日ではありません
「春節」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
日本では旧正月といわれる旧暦のお正月のことです。
中国や韓国ではこの時期に年賀カードを送るようです。
その他、欧米のキリスト教圏ではクリスマスカードに新年のお祝いを添えるのが一般的です。
イスラム圏では年賀状のようなものはなさそうです。
こぶた
キリスト教では新年よりもクリスマスの方が大切な日なんだね!
ぶたちく先生
本当に文化の違いはすごいよね!それぞれが大事にしていることがあっていいんじゃないかな!

最後に

年賀状についての記事いかがでしたか。
時代と共に形は変わり、今ではLINEや電子メールで新年のあいさつを済ませることが増えてきました。
「今年で年賀状は最後にします」という年賀状を頂くことも珍しくないですよね。
残念ながらこれからも年賀状の数は減少していくでしょう。
しかし、どんな形であれ、「今年もよろしく!」という区切りがなくなるわけではありません。
年賀状という形ではなくなるというだけなのです。
少し寂しい気もしますが、そういうものなのだと思います。