古事記の物語④~名誉挽回のスサノオ・ヤマタノオロチの退治~

高天原で無茶苦茶な行動をとり続け、アマテラスの心を折ったスサノオ。
アマテラスが天の岩戸から出てきた後、スサノオは高天原から追放されます。
自業自得としか言いようがないですが、その後どうなったのでしょうか?
こぶた
ウンコ投げたりしてたもんね・・・
ぶたちく先生
今回はスサノオがヒーローになるよ!

葦原の中つ国に降り立つ

高天原を追放されたスサノオは葦原の中つ国(地上)に降り立ちます
降り立った場所は出雲の国の肥の川のほとり、鳥髪(とりかみ)という土地。
現在、肥の川の名称は斐伊川(ひいかわ)となっています。
また、斐伊川の上流、かなり山の中ですが「鳥上滝(とりかみたき)」という滝があるのでそのあたりでしょうか。
地上に降り立ったスサノオが川のほとりにいると、箸が流れてきました
スサノオは「上流に人がいるのかな?」と川に沿って上流を目指しました。
こぶた
現在の地名と少しずつ字が違うけど、名残りが残っているんだね!

クシナダヒメと出会う

スサノオが上流に向けて歩いていると、予想通り家がありました。
スサノオがその家を訪ねると、そこにはおじいさんとおばあさんと若い娘が居ました。
しかし、どうしたことでしょう。おじいさんとおばあさんはしくしくと泣いているのです。
スサノオ「お前たちは誰だ?」
おじいさん「私は国つ神のオオヤマツミノカミの子でアシナヅチという者です。妻はテナヅチといいます。
あと、娘はクシナダヒメといいます。」
国つ神というのは、葦原の中つ国の神が高天原の神に対してへりくだる時に使う言葉です。
ぶたちく先生
高天原にいる神を「天つ神」、地上にいる神を「国つ神」と言うよ!

アシナヅチたちが泣いている理由

スサノオ「どうして泣いているんだ?」
アシナヅチ「私にはもともと8人の娘がいました。しかし、毎年、高志(こし)にいる大蛇が娘を一人ずつ食らっていくのです。」
高志(こし)というのは、現在の富山県のことらしいです。
ス「なんということだ!」
ア「もう残る娘はこのクシナダヒメだけ。そして今年もついに大蛇がやってくる時期なのです。」
ス「大蛇か・・・」
ア「はい、その大蛇をヤマタノオロチと呼んでいます。」
こぶた
ヤマタノオロチってよく聞くけど、日本の神話に登場するんだね!

怪物ヤマタノオロチ

アシナヅチはさらに詳しくヤマタノオロチについて説明します。
それによると
ヤマタノオロチは8つの目と8つの尾がある
胴体にはヒノキやスギが生えている
体の大きさは谷を8つ、山を8つ超えるぐらい。
ただ、おなかの部分はただれ、血がにじんでいる・・・
とにかくめちゃくちゃ大きい、ということですね。
ぶたちく先生
ヤマタノオロチは洪水や火山の噴火などの自然災害を象徴していると言われているよ!

怪物を退治するかわりにクシナダヒメを嫁にくれないか

ここで素直に助けるとかっこいいのですが、スサノオという男は条件をつけます
実は、スサノオはこの時点でクシナダヒメに恋をしています。
ス「その蛇やっつけるからクシナダヒメを嫁にくれ!」
ア「えぇ・・・?あなたはどちら様ですか?」
ス「私はアマテラスオオカミの弟のスサノオだ。高天原から来たところだ。」
老夫婦は驚き、クシナダヒメとの結婚を承諾します。
そして、スサノオはヤマタノオロチとの戦いに向けて準備を始めます。
こぶた
なんかずるいような気もするけど・・・でもお互いが良ければそれでいいか・・・

ヤマタノオロチ討伐作戦

まず、スサノオはクシナダヒメを隠すためにクシナダヒメを櫛にします
そしてその櫛を自分の頭にさして、連れ去られないようにします。
アシナヅチとテナヅチには強い酒を醸造するように命じます。
さらに、八つの門を持つ垣をめぐらし、その門ごとに供え物を置くための台を作らせます。
その台の上にはアシナヅチたちに作らせたお酒をいっぱいに入れた桶を置きました。
スサノオはそこまで準備を命じた後に、ヤマタノオロチを待つよう指示します。
ぶたちく先生
ヤマタノオロチを酒に酔わせてやっつける作戦だね!

作戦は成功する

アシナヅチたちが待っていると大蛇が現れます。
大蛇はアシナヅチが言っていたとおりの姿でした。
現れた大蛇は8つの桶にそれぞれ頭を突っ込み、酒を飲み干してしまいます。
すると、酔って動けなくなりそのまま眠ってしまったのです。
それを確認したスサノオは剣を抜き斬りかかります。
肥の川の水はヤマタノオロチの血で真っ赤に染まりました。
ヤマタノオロチを切りつけた際に、スサノオが持っていた剣の刃がこぼれてしまいます。
スサノオは不思議に思い、その部分を裂くと、なんと中から神々しい剣が出てきました。
この剣をスサノオはアマテラスオオカミに献上することにします。
これが後に三種の神器の一つになる草薙の剣です。
こぶた
三種の神器は今でも天皇の皇位継承と共に継承されているよ!

出雲で新婚生活

戦いの後、スサノオは出雲の国の中で宮殿を建てるべき場所を探します。
クシナダヒメとの生活場所の確保のためです。
そして、とある場所に来た時にスサノオの心はとてもすがすがしい気持ちになりました。
スサノオはそこを新居にすることに決めます。
そしてその地は「須賀」と呼ばれています。
すがすがしかったので・・・
現在、そこには「須我神社」という神社があるそうです。
須賀に宮殿ができるとスサノオは日本で最古の和歌を読みます。
「八雲たつ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣つくる その八重垣を」
(やくもたつ やくもやえがき つまごみに やえがきつくる そのやえがきを)
早口言葉みたいですね・・・
意味的には出雲の国に立ち上る幾重もの雲が妻を守っているかのようだ的な感じです。
こぶた
コメントすがすがしいから須賀ってダジャレみたいだね・・・
ぶたちく先生 
今回はいいお話だったからまぁ大目に見てあげて・・・
【続く】