古事記の物語②~恐怖の兄弟ゲンカ・アマテラスとスサノオの占い勝負~

以前の記事で古事記に記載されている日本神話についてお話してきました。
前回お話ししたのは、
イザナギとイザナミの国生み
神生み
イザナミの死
そしてアマテラスオオカミの誕生まででした。
もちろん古事記には続きがあります。
今回はアマテラスの誕生からスサノオの大暴れについてお話ししましょう。
こぶた
え・・・大暴れするの?
ぶたちく先生
前回は日本最初の夫婦げんかで、今回は日本最初の兄弟げんかだよ・・・

少しおさらい

黄泉の国でイザナミに追っかけまわされ、イザナギは黄泉の国から「葦原の中つ国」と呼ばれる地上まで戻ってきます。
イザナギは体中についた黄泉の国の「穢れ(けがれ)」を落としに禊(みそぎ)を行います。
そして、禊の過程で神々が生まれまくります。
禊の過程で身に着けていたものから12柱。
さらに体を洗いながら24柱。
そして最後に顔を洗い、
左の眼から生まれたのがアマテラスオオカミ、
右の眼から生まれたのがツクヨミノミコト
鼻から生まれたのがスサノオノミコト
です。
そして、この最後に生まれた3柱は最も貴い神であると、イザナギは非常に喜びました。
この三柱を三貴子(みはしらのうずのみこ)と呼びます。

イザナギ・統治を任せる

兄弟たちで分担して統治する

イザナギはアマテラスオオカミに首飾りを授け、高天原を治めるように言われます。
高天原は神々が住む天上の国です。
さらに、ツクヨミノミコトは「夜の食国(よるのおすくに)」を治めるように言われます。
夜の食国がどこかわかりませんが、とりあえず夜の国を統治する神様と考えてもらえれば大丈夫です。
ちなみにこの後、ツクヨミは古事記に全く登場しません・・・
さらにスサノオには海原の統治を任せることにします。
海原とは葦原の中つ国なので、地上の統治、ということになります。

スサノオ泣きわめく

三貴子に統治を任せたイザナギ。
しかし、スサノオは泣きわめいて海原の統治に全く向かいません。
どのくらいの期間泣いていたかというと、あごひげが伸びて胸に到達するぐらいまでの期間だそうです・・・
だいぶ泣いてますね・・・
泣きわめくスサノオの声の影響はすさまじく、葦原の中つ国の山を枯らしてしまい、海や川までも干上がってしまう有様です。
さらに、悪い神様たちも目を覚ましてしまい、地上は疫病が蔓延し、干ばつに苦しむなど、あらゆる災いが葦原の中つ国に降り注ぎます。
神様が泣きわめく影響はけた違いですね・・・

スサノオ怒られる

見かねたイザナギノミコト
ギ「どうして海原にいかないんだ?泣きわめいてばかりいるのはどうしてなんだ?」
ス「父さん、僕はお母さんがいる黄泉の国に行きたくてしょうがないんだ!」
ギ「なんだと!何を言っているんだ!お前はもうこの国に住むんじゃない!」
仕事をしないスサノオにいら立ったのか、それとも黄泉の国での恐怖体験を思い出したのか・・・
イザナギは激怒して、スサノオを葦原の中つ国から追放します。
こぶた
あーあ・・・怒られちゃったね・・・
ぶたちく先生
イザナギは黄泉の国でエライ目にあってるからね・・・

兄弟げんか

アマテラスの勘違い

葦原の中つ国を追放されたスサノオは考えます。
ス「そうだ!黄泉の国に向かう前に姉さんのところに行って、一応経緯を説明しておこう!」
高天原に上り始めるスサノオ・・・
しかし、スサノオが高天原に向かったことで地上が大きく揺れ、山や川も激しく揺れ動きます。
この大地に響き渡る轟音を聞いたアマテラスは慌てます。
ア「やばい・・・弟が攻めてきた・・・」
アマテラスは戦いの準備を始めます。
まずは髪形を「みづら」という男性の髪形に変えます。
「みづら」はこんな髪型です↓
さらに髪の毛や額には勾玉を巻き、
背中に1000本の矢が入る矢筒を背負い
お腹には500本の矢が入る矢筒を巻き付け、
腕には防具をつけます。
兄弟げんかどころではなくて、やってしまう気マンマンです・・・
さらに固い地面を太ももまで埋まるほどに踏みしめてスサノオと対峙します。

焦るスサノオ

完全武装状態の姉を見て凍り付くスサノオ・・・
ス「姉さん!ちょっと待って!ケンカしに来たんじゃないんだ!」
ア「そんなわけないでしょ!地上はあんなにめちゃくちゃじゃない!」
ス「落ち着いてよ!お父さんに追い出されたからお別れを言いに来ただけだよ!」
ア「高天原を乗っ取るつもりでしょ!戦争よ!地獄に落としてやるわ!」
アマテラスは全く信じてくれません。
困ったスサノオは提案します。
ス「じゃあさ!占いで決めようよ!」
ア「占い?いいわよ!」
なぜか占いの提案にのるアマテラス・・・仲がいいのか悪いのか・・・

始まる占い対決

占いの仕方はこうです。
まず、スサノオの持っていた剣を3つに折ります。
そしてアマテラスが口の中に入れてバキバキとかみ砕きます。
この時、口の中を切らないように気を付けましょう。
さらにかみ砕いたものに息を吹きかけると・・・
3柱の女神が生まれました!
次はアマテラスの番です。
アマテラスの身に着けていた5つの勾玉。
これをスサノヲが噛み砕き、さらに息を吹きかけると・・・
今度は5柱の男神が生まれました。
ア「5人の男神は私の持ち物から生まれたから私の子よ。でも3人の女神はあなたの剣から生まれたからあなたの子よ」
ス「うん・・・」
ア「あなたの子は女神だった・・・穏やかな女神が生まれたということは、あなたは本当のことを言っていたってことね。」
ス「そうだよ!僕には邪心がないから僕の持ち物からは女神が生まれたんだよ!僕の勝ちだ!」
スサノオは勝利宣言をします。
このアマテラスとスサノオの占いは「誓約(うけい)」と呼ばれています。
こうしてスサノオは身の潔白を証明することができたのです。

図に乗るスサノオ

身の潔白を証明されたスサノオ。
しかし、なぜかスサノオは高天原でとんでもない行動を引き起こします。
アマテラスの田んぼの畦を破壊し、灌漑用の溝を埋め(インフラの破壊)
新嘗祭を行う御殿にウンコをまき散らします(収穫を侮辱する行為)
誓約で思い上がったのでしょうか・・・
しかし、逆に誓約で負けてしまったアマテラスはスサノオの行動をかばい続けます。
「畦を壊したのも溝を埋めたのも、その方が土地の有効活用ができるからじゃない?」
「ウンコ?別にいいんじゃない?ていうか、酒に酔って吐いただけでしょ?」
しかし、スサノオの行動はエスカレートするばかり・・・
ついに大事件が起きます。
アマテラスが機織り御殿で女性たちに衣を織らせていた時の事です。
この衣は神様に捧げる神聖なものでした。
そこにスサノオがやってきて、御殿の屋根に穴をあけ、尻の方から皮を剥いだ馬を投げ入れたのです。
驚いた機織りの女は誤って自分の体に機織り道具を突き刺し、死んでしまいます。
この出来事でアマテラスは完全に心が折れてしまうのです。
【続く】
こぶた
「尻の方から皮を剥いだ」ってなんでそんなことするの?
ぶたちく先生
お尻の方から皮を剥ぐ行為は「逆剥ぎ」といって古代ではやってはいけないことだったんだ!