日本最古の夫婦が作った日本~古事記から見る日本神話・国生みからアマテラスの誕生まで~

ギリシア、ローマ、中国、インド・・・
世界にはたくさんの神話があります。
神話は、科学が進歩していない時代で、わからないことだらけの世界の成り立ちや現象を説明するためにとても有効な手段でした。
そして、各国の王様などの指導者が、自分たちを権威づけ、伝統ある国であることを示すためにもとても役立ちました。
今日取り上げるのは日本の神話です。
日本の神話は最古の歴史書である「古事記」「日本書紀」に記載されています。
今回は日本の誕生から天照大神(アマテラスオオカミ)という最高神の誕生までをまとめてみました。
唐突な展開や不思議な現象が多いですが、あくまで神話と割り切って読んでくださいね。
登場人物の名前がかなり長くてややこしいので少しまとめておきます。
父:イザナギノミコト
母:イザナミノミコト
子:カグツチ(火の神)
  アマテラスオオカミ(太陽の神)
  ツクヨミノミコト(夜の神)
  スサノオノミコト(嵐の神)
  日本の島々
こぶた
古事記も日本書紀も名前は知っているけど神話が書いてあるんだね!
ぶたちく先生
神話だけではないけどね・・・でも日本という国の成り立ちを考える上ではとても面白い内容だよ!

国生み

日本の神話を語るうえで外せないのが世界の創造(国生み)です。
天地の創造は世界中の神話や宗教でも言及されていますが、日本神話ではどのように記載されているのでしょうか。

イザナギとイザナミの誕生

まだ日本ができる前のことです。
高天原(たかまがはら)という神々が住む世界がありました。
高天原は空の高いところにあります。
そこに男神である「イザナギ」女神である「イザナミ」という神様が生まれます。
イザナミとイザナギは高天原に住む神々に「大地を固めるように!」と命じられます。
ちなみに神様を数える時の単位は「柱(はしら)」といいます。
神々は「天沼矛(あめのぬぼこ)」という矛をイザナギとイザナミの二柱に与えます。

イザナギとイザナミ、国生みをする

イザナギとイザナミは大地を作りにいきます。
高天原の「天浮橋(あめのうきはし)」という橋に立ちます。
橋の下には地上の混沌・・・
ちなみにこの時地上に地面はありません。
「地上の混沌」は説明できないですが、私的には海とか地面とかいろんなものがドロドロしている沼のようなものを想像しています。
とにかく、イザナギとイザナミは橋の上から天沼矛でそのドロドロした地上の混沌をかき混ぜます。
そして矛を上げると・・・
なんということでしょう、矛から海水がしたたり落ち、塩が固まって積り、島になったのです!
この島のことをオノゴロ島といいます。
このオノゴロ島は現在の淡路島近辺の沼島ではないかといわれています。

地上に降り立ち結婚する

イザナギとイザナミは、高天原からオノゴロ島に降り立ちます。
地上に降り立った二柱は、高天原と心を通じ合わせる必要がありました。
そのため、オノゴロ島に天の御柱(あめのみはしら)を建てます。
さらに八尋殿(やひろどの)という大きな神殿も建てました。
イザナギはイザナミに聞きます。
ギ「君の体はどうなっているんだい?」
ミ「私の体はほぼできあがっているのですが、一つ欠けているところがあるのです。」
ギ「私の体もほぼできているのだけど、僕は余っているところがあるんだ・・・そうだ!これで君の欠けているところを補えばいいんじゃないか?」
二人は先程建てた天の御柱を中心に、イザナギは左から、イザナミは右から互いに逆方向に回り、出会ったところで声をかけます。
ミ「なんて素敵な方なのでしょう」
ギ「なんてかわいい女性だ」
こうして補い合った結果、なぜか子ではなく島が生まれます。
しかし生まれた島は不完全な島でした。

悩む夫婦

島づくりがうまくいかなかったイザナギとイザナミ。
高天原にいる神々に相談します。
そこで
「イザナミから声をかけたのがだめなんじゃない?やっぱり男であるイザナギから声をかけないと・・・」
二柱はなるほど、と再挑戦のため再びオノゴロ島に降ります。
二柱はもう一度天の御柱を逆方向に周り、
ギ「なんてかわいい女性だ」
ミ「なんて素敵な方なのでしょう」
そして互いに補い合った結果、ついに「淡路島」が生まれます。
さらに四国、隠岐の島、九州、壱岐の島、対馬、佐渡島、本州と全部で8つの島を生みだすことに成功します。
これらの島を総じて「大八嶋国」と呼びます。
こうしてイザナギとイザナミの国生みは完結するのです。
こぶた
島を産んだんだね・・・
ぶたちく先生
イザナギとイザナミの試行錯誤がとても面白いよね!

神生みとイザナミの死

国生みが終わったといってもまだ地上には地面があるだけ・・・
国を作ったとは言えません。
イザナギとイザナミの国づくりはまだまだ続きます。

神生みを始める

国生みという大仕事を終えた二柱。
次は大八嶋国に住む神々が必要、ということで神生みに挑戦します。
国生みの時とは違い、コツをつかんだのか、ここでは順調に神を生んでいきます。
ただ、神の数がかなり多いので説明しきれませんが・・・
簡単に触れていくと、住居、海、水門、風、木、山などの神が生まれます。
土地だけあってなにもない大八嶋国に木や海、風、山などを作った、とう解釈でよいと思います。

イザナミ死す

しかし、ここで悲劇が起こります。
順調に進んでいた神生みですが、イザナミは最後に「カグツチ」という火の神を生みます。
カグツチを生んだ影響で、イザナミは体に大火傷を負ってしまうのです。
病床に臥すイザナミ。
その間にもウンコやオシッコ、ゲロ(食事中の方ごめんなさい!)が神になるなど、神生みを続けました。
しかし、イザナミは死んでしまいます。
イザナギは最愛の人であったイザナミのそばで泣き崩れます。
そして、我が子であるカグツチをその手にかけてしまいます。
イザナミは出雲国と伯耆国の境にある比婆(ひば)の山に葬られます。
ちなみに比婆の山は島根県、広島県、鳥取県の3県の境に存在しています。

後を追うイザナギ

イザナミは死んで黄泉の国に行きます。
しかしイザナギはイザナミが大好きでした。
イザナギはイザナミを追って黄泉の国に行きます。
ギ「帰ってきてよ!」
ミ「無理よ!もう黄泉の国の食べ物を食べてしまったの・・・」
ギ「まだ国づくりも途中じゃないか!」
ミ「私だって帰りたいわ!そんなに言うなら黄泉の国の神に相談してくるから待ってて。その代わり絶対に私の姿を見ないでね!」
ギ「わかった!絶対に見ない!待ってるから!」
イザナミは黄泉の神と話をします。
しかし、話し合いは終わる気配はありません・・・
そこで待ちきれなくなったイザナギはイザナミの姿を見てしまうのです。
そこで見たイザナミの姿は変わり果てた死者の姿でした。

イザナギの大逃走

イザナミの体は腐敗し、無数のウジ虫が這いまわっていたのです・・・
ギ「ギャーッ!!!!!」
イザナギは慌てて逃げ出します。
それに気づいたイザナミは激怒し手下にイザナギを追いかけさせます。
必死に逃げるイザナギ。
逃げながら髪飾りを投げます。
すると髪飾りから山ブドウの実がなります。
なぜだかわかりませんが・・・
さらにイザナギは櫛を投げます。
するとタケノコが生えてきます。
もちろんなぜだかわかりません・・
そしてイザナミの手下は山ブドウの実とタケノコにむしゃぶりつきます。
その隙に逃げるイザナギ。
しかし、追っ手はやみません。
イザナギを追いかけるのは雷神と黄泉の軍勢たち。
その数1500。
イザナギは黄泉の国と現世の境にある坂道まで逃げ続け、最後に桃を投げつけます。
すると黄泉の国の軍勢は逃げていったのです。

さらばイザナミ

しかし、イザナミはあきらめません。
イザナミは自ら追いかけてきました。
しかし、そのころには、イザナギは1000人がかりでしか動かせない巨大な岩を坂道に置いていたのです。
岩を挟んで対峙する二人。
ミ「あなたがこんなひどい仕打ちをするなら私は1日に1000人を絞め殺すわよ」
妻から発せられた衝撃のサイコパス発言・・・
しかし、イザナギは怯まず、
ギ「では私は1日1500人が生まれるようにしよう」
こうしてイザナギとイザナミは離別し、黄泉の国での追いかけっこは終わりを告げたのです。
こぶた
まさかの急展開・・・でも人間くささがあって面白いね!
ぶたちく先生
この人間くささが日本の神々の特徴かもしれないね・・・

アマテラスの誕生

ようやく黄泉の国を脱出したイザナギ。
しかし、その体には黄泉の国の穢れがしみついていました。
イザナギは清めるために禊(みそぎ)を始めます。
禊をするために身に着けていたものを外すとそれらが神となります。
杖・帯・袴・・・
さらに川の中に入って禊をします。
するとまた神々が生まれます。
そして最後に顔を洗い始めます。
そして顔を洗ったときにとても重要な神々が生まれます。
左の眼を洗ったときに太陽の神・天照大神(アマテラスオオカミ)
右の眼を洗ったときに月の神・月読の命(ツクヨミノミコト)
鼻を洗ったときに嵐の神・須佐之男命(スサノヲノミコト)
が生まれました。
イザナギはこの三柱を自分の子の中で最も貴い神であると喜び、
アマテラスオオカミには高天原を、
ツクヨミには夜の国を
スサノオには海の統治
を任せることにします。
特にアマテラスオオカミは今後の古事記の主役になっていくことになります。
こぶた
今回は日本の神話でも本当の最初の部分なんだね!
ぶたちく先生
そうなんだ!まだまだ続いて面白いから興味ある人は読んでみてね!

最後に

いかがでしたか?
今回はイザナギとイザナミの国生みからアマテラスの誕生までについてまとめてみました。
不思議なことがいっぱいですが、これは神話です。
ただ、日本の神はなんとなく人間らしさがあって親近感を持てるような気がします。
また機会があればこのお話の続きも書ければと思います!