KENDAMA~地味な遊びだと?今やけん玉はスポーツであり芸術なのだ!~

私には小学生の頃の苦い記憶があります。
どのクラブ活動に入るかを決めるじゃんけん。
負け続けた私の選択肢は「相撲部」「けん玉部」
将棋部に入りたかった私は体が小さく運動音痴で、かつ不器用・・・
週に1回の活動とはいえ、私にとっては究極の選択で、とても悩んだ記憶があります。
話は変わりますが、現在、けん玉界がとてもにぎわっています!
プロプレーヤーがいたり、世界大会があったり・・・
でも「けん玉っておもちゃでしょ?」っていう人も多いと思います。
今回はけん玉についてお話ししましょう。
こぶた
結局どっちのクラブに入ったの?
ぶたちく先生
相撲部だよ・・・体の大きな上級生に投げられ続けた地獄の1年間だったよ・・・

けん玉の歴史

皆さん、けん玉は日本発祥だと思っていませんか?
実はそうではないかもしれません・・・
今、一般的にけん玉のルーツと言われているのは、16世紀のフランスの「ビルボケ」と言われています。

 

一般社団法人グローバルけん玉ネットワーク様HPより引用
街角の子供から、フランス王アンリ3世まで広く親しまれたようです。
写真をみてわかるように、少し今のけん玉とは違いますが、
「これ何?」って聞かれたら、
「まぁけん玉かな・・・」って感じですよね。
糸を付けた球を振ったりして突起物にはめるおもちゃは古くから世界中にありました。
ただ、ビルボケのように子供から貴族まで親しまれたものは他に記録がないそうです。
ちなみに、フランスには「ビルボケするより難しい」という賛辞を贈ることわざがあります。
一般的に知れ渡っているということですね。
しかし、実際にビルボケが日本に伝わったという記録もありません。
だから、ビルボケが現在のけん玉のルーツであると「考えられている」という感じです。
こぶた
フランスだったならすごく意外だね!!
ぶたちく先生
実は似たようなおもちゃはアメリカの先住民やアイヌ民族にもあったんだ

日本のけん玉

すくい玉拳

日本で初めてけん玉の記録が出てくるのは、1809年のことです。
その名も「すくい玉拳」(すくいたまけん)

これも見た感じ「まぁけん玉だよね・・・」って思いますね。
一応呼び名も「たまけん」なので日本における最初のけん玉の記録と考えて間違いないでしょう。
すくい玉拳は1777年頃に出てきて、長崎から広まったようです。
当時、長崎は国内唯一の開港地。
ということは、「すくい玉拳」も外国から伝えられた可能性も十分考えられるわけです。
このすくい玉拳は、どちらかかというと大人がお酒の席で遊ぶおもちゃだったそうです。
「失敗したら飲めよ!」って感じでしょうか。
すくい玉拳は明治になると、子供たちも遊ぶようになったそうです。
それにしても「けん」も剣でなく拳だし、「すくいたまけん」って日本人的には違和感のある言葉ですね・・・

日月ボール

そんなけん玉が現代の形に落ち着いたのは、大正8年です。
広島県呉市の江草氏がけん玉を改良した「日月ボール」を実用新案として登録します。
日本玩具博物館様HPより引用
もう完全に今のけん玉ですね。
名前の由来は、球が太陽(日)、お皿を月に見立てたそうです。
名前がなんとなく面白いですが、この時に日本中で大ブームが起きたそうです。
江草氏は現在の広島県廿日市市でけん玉を製造します。
ちなみにけん玉を廿日市市で製造を始めたのは1921年頃。
広島県は2022年を、けん玉発祥100周年として盛り上げています。
こぶた
日月ボールっていう名前がいいね!
ぶたちく先生
海外にルーツがあったとしても、日本で今のけん玉が作られたのは間違いないね!

競技としてのけん玉

けん玉道

今や「けん玉道」とまで言われ、武道のように10級から1級、それを超えると初段から10段まであります。
技はなんと20000種類以上あるそうです。
そのなかでも基本的な技が「もしかめ」
動揺「うさぎとかめ」のリズムに合わせて行っていたことに由来するこの技は、玉を大皿と中皿をひたすら往復させる、というものです。
1級を持っている人は50回できるそうなのですが、1分間あたり135回の速さでする必要があります。
これをなんと四段の人は1000回・・・
さらに、「全日本けん玉道もしかめ選手権」というのがあり、これに出場すると8時間もしかめを続けるそうです。
これ以上は医学的見地から体に危険があるとのこと・・・
ものすごい集中力と持久力がもとめられます。
ちなみにもしかめのギネス世界記録は7時間35分だそうです。

けん玉ワールドカップ

けん玉ですが、現在、世界中でプレーヤーが増えています。
2022年に開かれたけん玉ワールドカップには世界12か国・地域から参加しています。
アメリカやシンガポールでは特に流行っているとのこと。
アメリカではプロプレーヤーやプロチームも出てきているそうです。
子供からお年寄りまで気軽に始められるけん玉は世界に広く知れ渡っていくかもしれません。
こぶた
健康に支障をきたすと・・・
ぶたちく先生
精神力の他にも腕や腰にだいぶ来るのかもしれないね・・・

最後に

いかがでしたか?
今のところけん玉は日本発とはいえませんが、現在の形を作ったのは間違いなく日本の江草氏なのです。
そして、それを競技として発展させたのも日本ですので胸を張っていいと思います。
プロのけん玉を動画で見ると、マジックのようですし、「どうしてそうなる?」と驚くばかりです。
冒頭の小学生の私に伝えたいです。
「絶対に楽しいから迷わずけん玉部に入れ!」