辛い現代病「花粉症」~どうしてここまで増えてしまったのか~

皆さんの身の回りに花粉症の方はいますか?
今や日本人の4割以上が花粉症に悩んでいて、このままだと半数を超えそうな勢いです。
私自身は花粉症を患っていませんが、花粉症の友人が
「目玉をほじくりだしたい・・・」
などと穏やかでないことを言うほど辛いそうです。
その他にも、鼻に常時ティッシュを突っ込んでる人もいるそうです。
でも屋久島のスギが樹齢2000年を超えるように、人間は長い間花粉と共存してきました。
そんな人間がなぜ花粉症を発症するようになったのでしょうか?
今日は花粉症を発症するメカニズムや花粉症になる人とならない人の違いについてまとめてみました。
こぶた
僕は花粉症なんだ・・・ヒノキだから春なんだ、本当にいやだよ・・・
ぶたちく先生
僕は花粉症じゃないけど、花粉症の人本当に増えたよね・・・まずはどうして花粉症になるのか説明しよう!

どうして花粉症になるのか

人間はものすごい免疫システムを持っています。
体内に侵入してきた物質を、自己の物質ではないと判断すると、無害化しようとする反応がおきます。
これを抗原抗体反応といいます。
花粉症の症状は抗原抗体反応が原因です。
体内に侵入した花粉を異物と認識すると、花粉に対する抗体を作り、再度同じ花粉が侵入した場合に排除しようとします。
別にいいんじゃない?って思いますよね。
しかし、体内に入ってくる花粉に対して、抗体が過剰に反応することがあります。
これが花粉症。
花粉症は異物を排除しようとする動きが過剰になり過ぎて、くしゃみや鼻水、涙という症状が止まらなくなる、というものなのです。
こぶた
免疫機能が強すぎるってこと?
ぶたちく先生
アレルギーっていうのは、免疫の過剰な反応のことだからね!

なぜ花粉症になる人とならない人がいるのか

実は花粉症になりやすい人となりにくい人が居ます。
単純に花粉が体内に入るだけで花粉症になるわけではありません。
実はアレルギーにならない人もいるのです。
アレルギーになる体質のことを「アレルギー素因」といいます。
アレルギー素因をもっている人は、体内に花粉が侵入すると、その花粉に対する抗体を作ります。
この抗体は「IgE抗体」と呼ばれます。
人間の体は花粉の種類によって異なるIgE抗体を作り出すため
「私はスギ花粉」
「僕はヒノキなんだ」
みたいなことになるのです。
そして、この抗体が作られ続け、その量が多くなると花粉に対するくしゃみ、鼻水などの免疫反応が起き、花粉症を発症するのです。
花粉症を発症するまでの時間は人によって異なり、短い人では数年、長い人では数十年かかる場合もあります。
アレルギー素因は遺伝しますが、アレルギー素因があっても生活環境等で発症しないこともあります。
逆にアレルギー素因がない人は、花粉が体に入っても花粉症を発症しないのです。
こぶた
花粉症にならない人が本当にうらやましいよ・・・
ぶたちく先生
こればっかりは体質だからね・・・残念だけどね・・・

うなぎのぼりの花粉症

では日本で花粉症の患者数はどれぐらい増えているのでしょうか?
花粉症の患者数は約10年毎に調査されています。
それによると
1998年 19.6%
2008年 29.8%
2019年 42.5%
なんとこの20年間で倍以上になっているのです。
いったいなぜここまで増えているのでしょうか?
考えられている原因を列挙しました。

花粉が汚れた(大気汚染)

花粉症の発症率が高くなった理由が、花粉が汚れているから、という見方があります。
花粉の中には花粉症を引き起こす抗原が含まれています。
しかし、花粉そのものの大きさが大きいため、そのままでは人の呼吸器の奥深くには入ることができないのです。
ではなぜ花粉症を引き起こすのか。
それは、花粉が何らかの衝撃を受けて破裂し、花粉症を引き起こす抗原が飛散することにより呼吸器の奥深くに入りこむためなのです。
そしてこの花粉に衝撃を与えるのが空気中の大気汚染物質です。
例えば、自動車の排気ガスやPM2.5は花粉と衝突し、花粉を破裂させます。
花粉が破裂するのは大気汚染だけではなく、自然に破裂することもあります。
しかし、大気汚染物質が花粉の破裂確率を大いに上げたため、花粉症が増えたと考えられているのです。

食生活の変化

病気関連で昔から比べるとよく食生活が変わったと言われます。
日本は伝統的に味噌や醤油などの発酵食品や魚や野菜など腸内環境を整える食事をしてきました。
しかし、欧米食は動物性のたんぱく質や高脂質になりがちで、腸内環境を悪化させる原因となっています。
腸内環境は花粉症の発症に影響があると言われているため、花粉症増加の一因と考えられています。

スギの木が大量に増えた

花粉症を患う人のうち38%はスギ花粉との統計があります。
調査によっては花粉症の患者のうち、70%とするものがあります。
もっとも多い花粉症と言えるのですが、これにもひとつの見方があります。
実はスギという木は、通常、植えてから30年程度たたないと花粉を生産しません。
戦後、日本は経済成長や木造家屋の建設のため大量のスギを植林してきました。
しかし、日本の林業は採算がとれなくなり、輸入材が大きく需要を伸ばしたのです。
そして成長してしまった日本のスギの木が多く植林されたまま伐採されずに残ることになったことがスギ花粉を増やすきっかけになったと考えられています。

寄生虫がいなくなった

これは少しびっくりな理由ですね・・・
世界の人口の4割は寄生虫の病気にかかっていると言われています。
もちろん、先進国では少ないです。
しかし、日本人も、昔は井戸水を飲み、人糞肥料を作った有機野菜を食べ暮らしていました。
今はもう義務ではなくなったそうですが小学生の時の「ギョウチュウ検査」を皆さん知っていることでしょう。
昔はそんなにめずらしくなかった・・・らしいです。
そして、寄生虫の中には抗アレルギー物質を産出する種がいるそうです。
今では寄生虫を宿す人が少なくなったため、花粉症を発症する人が増えた、との考えもあります。
こぶた
原因はたくさんあるんだね・・・
ぶたちく先生
一つではないけど、逆に言えば決定的なことがあるわけではないってことだね・・・

最後に

いかがでしたか?
花粉症のことを少しでも理解して頂ければ嬉しいです!
私自身は花粉症を発症していませんが、周囲には花粉症を患う人が本当に多いです。
今かかっていない皆さん!
いつまでもかからない保証なんてないですよ・・・
私も来年デビューしてしまうかもしれません・・・
参考記事:厚生労働省HP