みなさんは「死海」を知っていますか?
特徴的なこの名前、おそらく聞いたことぐらいはありますよね。
「海」とつくのですが、実は「湖」です。
今回は、死海がどこにあって、なぜ死海と呼ばれるのか、そしてどんな湖なのかについてまとめてみました。
前から気になってたけど、名前からしていい予感はしないよね・・・
確かにあまり印象のいい名前ではないかもしれないね・・・まずは死海の場所と特徴から話そう!
目次
死海の場所と特徴
場所ですが、死海は中東にあります。
場所でいうと地中海の東側にあり、イスラエルとヨルダンにまたがっています。
海抜はなんとマイナス430メートル。世界で最も海抜の低い場所です。
なんだかしっくりこないですね・・・東京タワーを置いても、まだ海抜はマイナスのまま、とにかくとても低い土地です。
死海の面積は現在約600㎢です。日本最大の湖である琵琶湖が約670㎢ですので、琵琶湖よりも少し小さいですね。
しかし、死海の最大の特徴は塩分濃度の高い「塩湖」であるということでしょう。
なんかすごく大きな湖だと思ってたよ・・・でも、どうして湖なのに塩分濃度が高いの?
塩湖ができる理由は様々だ。塩湖とは何か、なぜ死海は塩分濃度が高いのか調べてみよう!
塩湖とは?死海の名前の由来とは?
塩湖とは、湖水の塩分濃度が高い湖をいいます。
ちなみに、他の塩湖を挙げると、南米ボリビアの「ウユニ塩湖」やアメリカの「グレートソルトレイク」が有名です。
ウユニ塩湖の美しい湖面の写真を見たことがある、という人は多いでしょう。
また、2002年冬季オリンピックが開催されたアメリカのソルトレークシティの名前の由来は、このグレートソルトレイクを擁することが由来です。
ほかにはカスピ海も塩湖になります。
死海の塩分濃度
では死海の塩分濃度はどれぐらい高いのでしょうか。
皆さんは海に行ったことがありますか?海水ってものすごくしょっぱいですよね。
そんな海水の塩分濃度は約3%です。
それに対して、死海の塩分濃度は約30%です。
海水の約10倍の塩分濃度、と考えてください。
死海の名前の由来
名前を聞くとめっちゃ怖いですよね・・・
まずは「死」の部分ですが、これは塩分濃度があまりに高く、魚が生きられないことが由来とされます。
実際、死海に生物はほとんどいません。
ただ、全くいないわけではなく、緑藻類の存在は確認されています。
次に「海」の部分ですが、これも「湖だろうが!」というツッコミたくなりますよね。
色々調べていくと、昔は「湖」と「海」の区別はほとんどなかったそうです。
昔、死海は「salt sea(塩の海)」などと呼ばれていたこともあり、その名残で「海」とつくのかもしれません。(※諸説あり!)
死海はなぜ塩湖になったの?
ではなぜ、内陸に存在する死海が塩湖なのでしょうか。
まず、死海にはヨルダン川から水が流入します。そして、その水には塩分やミネラルが含まれています。
ここまではよくある話なのですが、問題は「死海から流れ出る川がない」ということです。
「溢れるんじゃない・・・?」と思いますか?
違います。
水は蒸発するのです。
そして、死海がある地域は熱帯乾燥気候。湖の「水」はよく蒸発しますが、「塩」は蒸発せずに湖に残ります。
結果として、死海には塩が溜まっていき、どんどん塩分濃度が高くなっていくのです。
これも諸説ありますが、塩湖になる理由として、非常に納得できますね。
特殊な地形が影響してるんだね!でも死海に人間が入るとどうなるの?
ふふふ・・・どうなるか教えてあげよう!
死海に人間が入るとどうなるか
それでは、死海に人間が入るとどうなるのでしょうか?
ちなみに実際に死海に入ることは可能です。
とにかくめっちゃ浮く
インターネットで死海を検索すると、湖面に浮かんで新聞を読んだり、本を読んだりする画像を見ることができます。
死海の湖水は、塩分濃度が高いため、比重が重いです。
70パーセントが水分の人間の体のほうが比重が軽いため、とてもよく浮きます。それどころか、人間が沈むことは不可能なのです。
ぷかぷかと浮きながら、のんびり読書する・・・なんだか憧れますよね!
でも泳ぐのはやめとけ
ここからは怖い話です。
死海では泳がないでください。
「でもめっちゃ浮くんだったら、泳ぎが苦手でも泳げるんじゃねぇか?」
と考える方もいるかもしれません。
確かに、死海では泳げない人であっても、沈んで溺れることはありません。
しかし、この湖水を飲んでしまったらどうなるのでしょう?
塩分濃度の高い湖水を誤って飲んでしまった場合・・・
・体内の塩分バランスが急激に崩壊する。
・内臓が焼ける
・湖水を約1ℓ飲むと、単純計算で塩の致死量を摂取する。
・水が肺に入った場合、肺機能障害を起こし、死ぬ可能性がある
ね、恐くなったでしょう?
泳ぎが苦手な方・・・泳ごうとして、体がくるんと回ってしまい、水を飲む。あり得ますよね、絶対やめてください。
死海では遊泳ではなく「入浴」という言葉が使われます。
泳ぐよりも、のんびり安全に楽しみましょう、ということですね!
外傷があってもやめとけ
もう言わなくてもわかりますよね?
「傷にしみちゃうよ~」とかいうレベルではありません。激痛が走ります。
外傷がなくても、目や粘膜の露出している部分に湖水がかかると激痛です。
顔を湖水につけないようにしましょう。
そういうわけでシュノーケルとかも絶対にダメですよ!
・・・僕は入らなくていいや。
私もいいや・・・
死海が消滅する!?
そんな死海ですが、実は消滅する可能性があります。
実は、死海の面積は1960年当時、1000㎢ほどありました。
冒頭で記載したように、現在の面積は約600㎢。つまり、この70年間で約400㎢以上小さくなりました。
これは、湖面が低下したことにより、湖底があらわになってしまったということを意味します。
湖面低下の原因は色々とありますが、
・死海での取水
・流入元であるヨルダン川の水を、農業用灌漑用水として利用している
ことが原因とされています。
死海は、ヨルダン川から流入する水と、蒸発する湖水のバランスが非常に重要なのです。
このバランスがくずれ、蒸発する水量が変わらないのに、流入する水が減ったり、湖水そのものが減ってしまうと、湖水量はどんどん減り、湖面が低下しますよね。
もちろん、人間も指をくわえて見ているわけではありません。
死海の周辺にある、ヨルダン、パレスチナ、イスラエル。それぞれにとって死海は貴重な水資源であり、観光資源でもあります。
そのため、協力して死海を守る計画を立てました。
例えば、死海の南側にある「紅海」と運河でつなぎ、水を運ぶという構想が考えられたのです。
しかし、これらの国々は宗教問題も非常に根深く、別のことで関係が悪化してしまいました。
結局、死海を守る計画は頓挫しているのが現状です。
泳ぎたくはないけど何とかして守りたいね・・・
そうだね。干上がってしまうとどうしようもなくなる。何とか力を合わせて欲しいものだ。
最後に
いかがでしたか?
日本人にとってなじみの薄い地域にある死海。
恐ろしい名前付けられながらも、人の生活を支え、楽しませてきました。
何十年たっても、入浴を楽しめる死海があって欲しいと思います。
死海を訪ねる際は、はしゃぎ過ぎないように気を付けてくださいね!