みなさんは100mを何秒で走れますか?
私が今全力疾走したらおそらく16秒以上はかかるでしょう。
いや・・・無事にゴールできるか・・・
仮に100mを16秒で走るとして、私の速度は時速約22㎞
ちなみに人類最速のウサイン・ボルト氏の100m走世界記録9.58秒は単純計算で時速37.58㎞だそうです。
世界レベルの短距離選手のコンマ1秒は我々の想像よりも大きなものでしょう。
そして人類をはるかに上回り、100mを3秒ちょっとで走り抜けるのがチーター。
知能の頂点にいる人類に対して、走りの頂点にいるチーターについてまとめてみました。
先生って若い頃は走るの速かったの?
いや、一度も速くないよ・・・学生の頃は運動会の短距離走が嫌で仕方なかったよ・・・
目次
チーターとは
チーターはネコ科に属する動物で、言わずとしれた陸上最速の生物です。
体長は1.1~1.5mで体重は30~70㎏ほどです。
ネコ科の中でも、体に対して頭が小さく、細くしなやかな体形。
その体の全てが速く走るためにできていると言っても過言ではありません。
主にアフリカ大陸のサバンナに生息しており、昼行性です。
ネコ科の動物は夜行性のイメージもありますが、チーターは主に昼間に狩をします。
アジアではイラン以外の地域では絶滅しています。
野生のチーターのほとんどはアフリカに生息しています。
チーターのイメージって速くて、顔が可愛くて、体のラインがかっこいいって感じかな!
ちなみに水中最速はバショウカジキ、空中の最速はハヤブサと言われているよ!
人懐っこい性格
実はチーターは古来より、人間のペットにされてきました。
古代エジプトなどではチーターを飼いならして狩猟にも利用していたそうです。
現代では狩猟に利用されることは少ないものの、中東の国ではチーターをペットにしている人が珍しくありません。
(※おそらく密猟や闇取引等が多いのでその場合は違法です!!!)
小さな頃から飼いならしていれば、大人になっても人に甘えてくるそうです。
基本的に憶病な性格なので、自分より大きい人間を襲うことはほとんどありません。
とはいえ、敵意を感じた場合は人を襲うこともあるので、動物園などでも安易に近づかないように!
まぁ、これはどの動物にも共通して言えることですが・・・
密猟とか闇取引とかダメでしょ・・・
ワシントン条約で保護されているからね・・・チーターは絶滅の恐れがある動物なんだ・・・
陸上のスプリンター
チーターと言えば一番最初に連想されるのは、やはりスピード。
先ほど書いたように、チーターは陸上最速の生物です。
ここではチーターのスピードについて説明いたします。
最高速度
チーターのスピードは最高速度は時速100~110㎞。
高速道路を走る車と同じぐらいのスピードで走ることができます。
私達からしたらあり得ない速さなので、そこまで速く走れる必要があるのかっていう疑問が湧きます。
しかし、サバンナでは時速80㎞クラスはゴロゴロいます。
チーターによく追いかけられるインパラも最高速度は約90㎞。
サバンナの動物たちはみんなめちゃくちゃ速いのです。
ちなみに、最高速度時のチーターの一歩は約7mだそうです。
ちなみに走り幅跳びの世界記録は8m95cmだよ!
加速力
最高速度が最速のチーター。
加速力もエグいです。
走り出してから時速100㎞に到達するまでに要する時間は約3秒。
走り出して2秒後には時速72㎞に到達します。
ちなみに有名な日産のスポーツカー「GTR NISMO」は約2.7秒で時速100㎞に到達するそうです。
速すぎてよくわかりませんが、レーシングカー並みの加速力を持っているのです。
まぁ勝てるのはレーシングカーとかスーパーカーだけってことだね!
エンジンも電気もなしでこの加速力は本当にすごいことだよ!
速さの秘密
チーターの速さは理解できたとして、どうしてそこまで速く走ることができるのでしょうか。
ちなみにネコ科の動物で2番目に速いのが時速80㎞ぐらいのライオン(充分速いけどね!)
ここではチーターの速さの秘密に迫ります。
走るのに適した体
チーターの体は速く走るために最適化されています。
頭は小さく、空気抵抗を最小限に抑えます。
おなかと比べて大きな胸には肺活量を得るための大きな心臓や肺。
その肺に大量の空気を送り込むための大きな鼻の穴。
背骨が柔らかく、流線形の体を伸縮させて速度を上げます。
足や胸の大きな筋肉は短距離選手を彷彿とさせ、しまうことができない爪はスパイクの役割を果たしているのです。
そして忘れてはならないブレーキ能力。
チーターの硬い肉球はレーシングカーですらできないブレーキ能力を持ち、全速力から即座に止まることができるのです。
まさに最速の名にふさわしいですね。
ネコ科の動物の多くは必要に応じて爪を出したりしまったりできるんだ!
カーブも可能
チーターはそのスピードゆえ急に曲がれない、ジグザグに逃げれば対応できない、などの見方もされています。
しかし、そんなことはありません。
その秘密は長くて太いしっぽ。
チーターは高速で曲がるとき、曲がる方向と逆回転にしっぽをぐるぐる回します。
右に曲がるときは左にぐるぐる。
左に曲がるときは右にぐるぐる。
こうすることでジャイロ効果と呼ばれる現象を起こし、転倒しにくくしているそうです。
チーターは体全体をうまく使って狩りをしているのです。
全身が速く走るためにできている・・・動物版のレーシングカーだね!
ちなみに人間の子供がかけっこのカーブで腕をグルグル回すのもジャイロ効果を生んでいるよ!
チーターの弱点
サバンナのスピードキングにも弱点があります。
それはスピードと引き換えに失ったものでもあります。
ここではチーター特有の弱点についてお話ししましょう。
持久力がない
チーターの致命的な弱点ともいえるのが持久力のなさです。
先ほど書いた通り、時速100㎞で走るチーター。
しかし、このスピードで走れるのは200~300mほどといわれています。
時間にして10秒から20秒程度です。
そのため、獲物に振り切られることも珍しくありません。
チーターの狩りは短期決戦なのです。
ちなみに、全力疾走した後は体温が上昇し、体力を大幅に消耗しています。
狩りが成功しても30分休憩しないと食事もできないほどです。
本当に疲れちゃうから追うのを諦めてしまうんだ!
あまり強くない
チーターは狩りが上手ではありません。
原因の一つが小さな頭です。
先ほど書いたように、風の抵抗を最小限にするためにチーターの頭は小さいです。
頭全体が小さいため、あごの力も比例して弱く、狩りをして獲物に追いついても、仕留めきれないこともしばしば・・・
また、喧嘩が弱い上に疲れ切っているので、せっかく獲物を仕留めても、ハイエナやハゲワシなどに奪われてしまいます。
チーターの習性の一つに「無理をしない」というものがあります。
スピードを最大限に生かして狩りをするチータ―が足を怪我して走れなくなったら・・・
それはもう狩りをすることができず、子供たちだけでなく自分も餓死してしまうかもしれません。
不要なけがをしないために、無用な戦いをしない。
チーターは生きるために無理をしない、ある意味で平和主義者なのです。
完璧な強者っていないんだね・・・動物の世界は絶妙なバランスの上に成り立っているんだね・・・
このスピードがあるのに獲物にありつけず餓死するチーターもいるんだ・・・
最後に
チーターについてお話してきましたがいかがでしょうか?
完璧になりきれない動物に愛着がわいてきませんか?
ロンドン動物学会の報告では、野生のチーターはもう7000頭ほどしかいません・・・
絶滅のおそれがあるとされています。
毛皮等を求める人間の密猟や、環境の変化が減少の原因です。
最速の肉食獣は保護区域に留まらず行動するため、保護すらも困難な状況です。
これも人間のエゴかもしれませんが、サバンナを駆けるチーターの姿をいつまでも見ることができれば、と思います。
参考記事:学研キッズネット様HP