宇宙エレベーター~乗って降りたらもう宇宙?誰もが宇宙に行ける時代に~

気軽に宇宙旅行に行ける時代が来る!
この話を聞くたびに、いつも思うのです。
恐いって!
だって宇宙に行くときって、訓練を受けて、ロケットに乗って、ゴォーー--!!!っていいながら飛んでいくんでしょ?
その時には体中にすごいGがかかって、しかもちゃんと飛ぶかわからないし・・・
何かしら失敗したらもう終わり・・・絶対いや!
このように宇宙旅行に行くことができても、行きたくないっていう人も非常に多いと思います。
しかし、こんな不安を少し解消してくれるものがあります。
その名も「宇宙エレベーター」
みなさん、エレベーターに乗ったことありますよね?
マンションに住んでいる方は毎日乗っているエレベーター。
あんな感じで、乗って降りたら、もう宇宙。
これが宇宙エレベーターです。
こんなマンガみたいな話が現実化しつつあります。
マジか・・・と思ったでしょう?
でも本当に2050年頃の運用が目指されているのです。
しかも、その構想を持っているのは日本の企業、大林組です。
今日は宇宙エレベータについてお話しましょう
こぶた
そんなこと本当にできるの??
ぶたちく先生
技術的な課題は既にクリアしてるとされているんだ!

宇宙エレベーターの仕組み

通常、エレベーターは建物の中にありますが、宇宙エレベーターはどのようなものなのでしょうか?

その仕組みについてご説明しましょう。

静止軌道を利用する

宇宙には地球の静止軌道というものがあります。
静止軌道上で地球を公転する衛星は、その公転周期が地球の自転周期と一致するため、地球から見上げた場合に静止しているように見えます。
そのため静止軌道と呼ばれています。
エレベーターを作るうえで、地球の駅と宇宙の駅を作る必要があります。
この宇宙の駅を静止軌道上に作るのです。
仮に静止軌道以外の場所に宇宙エレベーターの駅を作れば、とんでもないことになりますよね・・・
地球の静止軌道は、高度約36,000㎞の距離にあります。
ちなみに国際宇宙ステーション(ISS)は高度400㎞。
宇宙エレベーターの駅はISSよりもはるか遠くに作られることになります。

ケーブル

次に宇宙エレベータが昇降するためのケーブルが必要になります。
ケーブルは静止軌道上の駅から地上駅まで垂らさなければならないのですが・・・
地球を公転する衛星は、地球の引力と公転することによる遠心力という二つの力によって高度を維持しています。
これは静止軌道上でも同じことです。
しかし、ケーブルを垂らすことにより、その分地球の引力が強くなり、高度の維持ができなくなるのです。
この問題を解決するために、静止軌道のステーションから地球と逆方向にもケーブルを伸ばします。
さらに、反対側に伸ばしたケーブルの端っこにはカウンターウェイト(オモリ)をつけることにより、遠心力を安定して生み出すのです。
こうして、二つの力を釣り合わせることで、静止軌道ステーションが地球に近づいてくることを防ぐのです。
ちなみにカウンターウェイトは高度96,000㎞程度になるとされています。

カーボンナノチューブ

宇宙エレベーターの発想自体は19世紀末にすでにありました。
1959年には静止軌道から上下にケーブルを伸ばすという構想をたてますが、とても大きな問題がありました。
地上から高度36,000㎞もの長さのケーブルが自重で切れない、そんな素材がなかったのです。
鋼鉄のケーブルでも全く強度が足りず、やはり、宇宙エレベーターは現代では実現できないと考えられていました。
そんな中、1991年、歴史的な発見があったのです。
日本の飯島澄男博士がカーボンナノチューブを発見するのです
カーボンナノチューブはアルミニウムの半分の軽さでありながら、鋼鉄の20倍の強度があるのです。
このカーボンナノチューブが発見されたことにより、宇宙エレベーター構想は一気に現実味を帯び、研究が加速したのです。
こぶた
でもまだケーブルだけだよね??実際に人が乗ったりしても大丈夫なの?
ぶたちく先生
もちろん課題はまだまだあるんだ!でもケーブルの目途がついたことはとても大きなことだったんだ!

ケーブルのつなげ方

大林組の構想ではこうです。
まず、ケーブルを積んだ宇宙船を静止軌道にとばして、地上駅(アースポート)の上空に移動させます。
次に宇宙船からケーブルを2本推進機につけ、地球に向けて降ろしていきます。
一方、宇宙船はケーブルを伸ばしながらさらに高度を上げていきます。
ケーブルが地表に到達し、宇宙船は高度96,000㎞まで上昇。この宇宙船がカウンターウェイトになるのです。
これでアースポートから高度96,000キロの宇宙船まで2本のケーブルでつながっている状態になります。
次に地表からクライマーと呼ばれる機械がケーブルを伝って上昇します。
この時にクライマーはケーブルを補強しながらが上昇していくのです。
なんとこの補強を510回繰り返し、完全にケーブルを補強してから静止軌道ステーションを建設するのです。
こぶた
確かにケーブルの補強は一番大事だもんね・・・ちぎれたらとんでもないことになる・・・
ぶたちく先生
そうだね!次回は宇宙エレベーターの課題を中心に話そう!
次回は宇宙エレベーターの課題です!