前回の記事はこちら!:お酒①「飲まれるぐらいなら飲むな」~人が酔う仕組みと酔いの程度~
目次
お酒に強い人と弱い人
お酒に酔うメカニズムがわかったところで、どうしてお酒に強い人と弱い人がいるのでしょうか。
先程述べたようにアルコールは肝臓でアセトアルデヒドという物質に分解されます。
この時にアセトアルデヒドを分解してくれるのが「ALDH2(2型アルデヒド脱水素酵素)」です。
しかし、日本人の約40%はこの酵素の活性が弱い(低活性型)と言われています。
さらに約4%の人は全く活性がありません(不活性型)。
つまり、日本人の4割以上がお酒に弱い、若しくは全く飲めない体質なのです。
この酵素の活性については、親からの遺伝により受け継ぐものなので、生まれつき決まっています。
つまり、強くなるとかそういう次元ではない人もいるのです。
特に不活性型の人はほんの少量のアルコールでも悪酔いするため、絶対にお酒を飲んではいけません。
お酒を人に勧める時には、相手が飲めないかも知れない!って考えないとだめだね!
お酒の無理強いは相手の体を壊しかねないからね・・・
タイプ別お酒に対する心構え
未成年者がお酒を飲んではいけないのはどうしてでしょうか?
女性は?お年寄りは??
それぞれの人に応じた特性があるので、その特性を知っておくことはとても大事だと思います。
未成年者
まず、絶対にお酒を飲まないでください!
多くの国で飲酒には年齢制限がかけられています。
もちろん日本での飲酒は20歳になってから。
これは民法の成年年齢が18歳となったこととは無関係なのでご注意を。
未成年者が飲酒を制限されるのは、まず脳や性ホルモンへの悪影響があることから。
これは脳委縮につながったり、男性であれば勃起不全、女性であれば生理不順になる可能性があることを示しています。
また、精神的に自己規制が効きにくい年頃なのでアルコール依存症になりやすいとされています。
20歳未満の方がお酒を飲めないのは、何よりも本人の体のため。
周りの大人たちは面白半分に勧めないように!
大人になって「もっと早く飲んでおけば・・・」とはならないよ!
女性
1954年、女性の飲酒者は全体の13%に過ぎませんでした。
しかし、2013年では63.3%と男性の82.9%と差が縮小しています。
女性は男性よりもお酒に酔いやすい体質であることが分かっています。
大きな理由は男性よりも体が小さい、体重が軽い、筋肉量が少ない、肝臓も小さいからです。
全体の血液量が男性よりも少ないので、血中アルコール濃度が高くなりやすいのです。
また、アルコール分解能力が男性の4分の3程度しかありません。
その他にも女性ホルモンにアルコールの分解を抑制する機能があることも理由とされています。
最近はおしゃれなお酒が増えたり、女子会なども流行っていますが・・・
アルコールは美容の大敵でもあります。
それに自分の体にも本当に気をつけて下さいね!
個人差はあるけど、男女の体のつくりが違うって事は覚えておこう!
年配の方(すみません・・・40歳以上です)
「若いころはもっと飲めたんだけど、今は弱くなったなー!がははは!」
こんなことを言いながらがぶがぶお酒を飲むおじ様方・・・
言ってることと行動が違い過ぎます。
体が年を取るように、肝臓も年を取ります。
アルコール分解能力は年齢とともに確実に低下しています。
一般的に、肝機能は20代~30代にピークを迎え、徐々に低下していきます。
また、高齢者は体に対する水分量が若年層に比べて少ないです。
そのため血中アルコール濃度が高くなりやすく、酔い易いのです。
年齢を重ねて無理している姿よりも、年齢を受け入れて自制できる姿のほうがきっとかっこよく見えますよ!
40歳は年配ではないけどね・・・でも肝機能は低下してくるんだ・・・
お酒を飲める人
個人的に一番気を付けて欲しいです。
同席した人が自分と同じようにお酒を飲めると思わないようにしてください。
お酒に弱い人は少し飲んだだけで判断力が低下します。
ちゃんと止めてあげたり、お水を飲むように促すなどしてあげてくださいね。
その場では大丈夫でも、帰宅途中に転倒したりする可能性もあります。
ちゃんとした判断力を維持できるのもお酒が強い人ならではです。
あなたのような人がとても頼りになるのです。
みんなが楽しく過ごせるように注意してみてあげてくださいね!
あまり注意ばかりしていても大変かもしれないけどね・・・
みんなが楽しく過ごせて、気分良く帰れることが一番大事だよ!
度数とパーセント
よく「このお酒は何度?」とか言いますよね。
対して、缶ビールなどを買ってみると「アルコール5%」などと記載されています。
「度」と「%」って何が違うのでしょう?
まず、結論からいうと、双方に違いはありません。
それぞれお酒の強さを表すもので、飲み物に対するアルコールの割合のことです。
一般的に日本で生まれたお酒、例えば日本酒や焼酎は「度」で表されることが多いです。
それに対して、ワインやビールなどの海外で生まれたお酒は「%」で表されることが多いそうです。
前から思ってたんだよね・・・同じ意味なんだね!
意外とこういうところで慣習みたいなのあったりするよね・・・
製造方法によるお酒の分類~お酒豆知識入門~
お酒の怖さについてたくさん語ってきました。
しかし、この後もまだお酒が怖いお話が続きます。
いったん小休憩として、お酒のウンチクを挟みましょう。
お酒にはたくさんの分類方法があります。
製造方法もその一つ。
製造方法によって醸造酒、蒸留酒、混成酒という分類がなされています。
それぞれどのような特色があるのでしょうか?
醸造酒
まずは醸造酒。
醸造酒は原料を酵母でアルコール発酵させただけのものを言います。
「させただけ」と書くとなんかイヤな言い方ですね・・・
それ以上のことをしなくても美味しいといいましょう。
代表例は、日本酒やワイン、ビールが挙げられます。
たとえば、米を発酵させると日本酒、ブドウ果汁を発酵させるとワイン、麦芽を発酵させるとビールといった具合です。
醸造酒の特徴は比較的アルコールが低いことが挙げられます。
醸造酒のアルコール度数は20%が限界と言われているよ!
蒸留酒
次に蒸留酒。
蒸留酒は醸造酒をさらに蒸留することで作られるお酒です。
別名はスピリッツ。
具体的には醸造酒を蒸留器で加熱します。
そうするとアルコールは水より早く気化(気体になること)するため、エタノールのみが蒸気になります。
その蒸気を集めて冷却することで製造するのです。
この蒸気はアルコールそのもの。
そのため、醸造酒よりもアルコール度数が高い、という特徴があります。
ちなみに最もアルコール度数が高いのはスピリタスというポーランドのウォッカです。
なんと96%。
ほぼエタノールなので引火しやすく、日本では消防法上、第4類危険物に該当しています。
なお、これ以上の度数のお酒は造ることができません。
蒸留酒の代表例は焼酎、ウイスキー、ブランデーなどが挙げられます。
それぞれの原料は、焼酎は芋、麦など多種多様なものから作られます。
ウイスキーは大麦や小麦、トウモロコシが原料で、ブランデーは果実酒が原料になっています。
強いお酒を面白半分で飲んじゃだめだよ!!!
混成酒
最後は混成酒。
これは少し毛色が違っており、醸造酒や蒸留酒に香料や果実、糖などを加えて作ったお酒です。
代表例は梅酒、リキュール、ベルモットなどが挙げられます。
ちなみにみりんもここに分類されます。
リキュールは蒸留酒に果物やハーブを加え、砂糖などを添加したもの。
梅酒は青梅を蒸留酒で漬け込んだもので、日本ではリキュールの一種とされています。
ベルモットは白ワインに香草やスパイスを配合したものです。
みりんもアルコールが入ってるんだ・・・
アルコールが入っているものが「本みりん」、アルコールが1%未満のものが「みりん風調味料」と言われているよ!
参考記事:月桂冠様HP