お酒①「飲まれるぐらいなら飲むな」~人が酔う仕組みと酔いの程度~

新型コロナウイルスが流行して約3年が経過しました。
良くも悪くも生活スタイルを変えざるを得なかったという方も多いでしょう。
お酒が好きな方にとっては、友人や同僚と飲み会が開けず、退屈だった方も多いのではないでしょうか。
今回取り上げるのはお酒
コロナ前の生活に戻った時に、我慢の反動でお酒を飲む機会が増えるかもしれません。
この記事を読んで頂いて、お酒を飲む方も飲まれない方もより楽しい時間を過ごして頂ければと思います。
こぶた
僕はお酒飲めないけど、先生はお酒飲むの好きなんじゃないの?
ぶたちく先生
僕は好きだけど全然強くないんだ!どっちかというと食べることが好きだしあまり困らないけどね!

アルコールとは

お酒の中に含まれる成分、それはもちろん「アルコール」
実は、アルコールというのは特定物質の総称になります。
私たちが飲むお酒に含まれているのは「エタノール」というアルコールの一種です。
ただ、他のアルコール類が知られる前からお酒と人類の付き合いがあったため、今ではエタノールを指してアルコールというのが一般的になっている、ということです。
エタノールは、お酒としての飲料用として用いられるだけではありません。
身近なところでは、殺菌消毒用としての医薬用途、食品添加物などにも利用されています。
さらにはバイオエタノールとして自動車燃料に用いられるなど、人類にとって非常に重要なものになっています。
新型コロナウイルス流行からは特に消毒液という役割で私たちに身近なものになりましたよね。
しかし、やはりお酒の用途が最も古く、有史以前から人類に愛されていたと考えられています。
こぶた
そんなに古くからお酒は飲まれているいるんだね!
ぶたちく先生
少なくとも紀元前4000年頃には既にワインが飲まれていたと考えられているよ!

お酒に酔う仕組み

体をめぐるアルコール

なぜ人はアルコールを摂取すると「酔う」のでしょうか。
飲酒をすると、約20%を胃が、残り80%を小腸がアルコールを吸収し、血液に溶け込みます
血液に入ったアルコールは門脈という血管を通って肝臓に運ばれます。
肝臓は、即座に運ばれてきたアルコールの分解を開始
しかし、解毒が仕事である肝臓も一度にたくさんのアルコールを分解することはできません。
分解されなかったアルコールは再び冠静脈を通り、心臓に到達
心臓からまた全身に血液と共にアルコールが送られ、再び肝臓に戻ってきて分解。
これを繰り返すこと体内のアルコールを分解するのです。
ぶたちく先生
一般に体重が60~70㎏の人で1時間あたり5gのアルコールを分解できるよ!

脳に到達するアルコール

分解のために体を循環するアルコール。
そのアルコールはその過程で脳にも到達します。
脳にアルコールが到達すると、脳の「網様体」という部分が麻痺します。
この網様体は人間の意識を維持する働きがあるとされています。
網様体が麻痺すると理性をつかさどる大脳新皮質の働きが低下。
反対に、大脳辺縁系という本能や感情をつかさどる部分の活動が活発になります。
こうして人は「酔う」という状態になるのです。
こぶた
脳が麻痺するって考えるとなんかすごく怖いよね・・・
ぶたちく先生
そうだよ、すごく危ないことなんだ!次は酔いの程度についてお話しするよ!

酔いの程度

酔うといってもその程度は様々。
単純に気分爽快になる場合もあれば、泥酔して路上で寝てしまう方も居ますよね。
酔いの程度は、脳内のアルコール濃度によって決まりますが、実際に測定することはできません。
そのため、血中のアルコール濃度で酔いの程度を判定しています。
(※あくまで個人差があることを忘れないでください!)

①爽快期

血中アルコール濃度は0.02~0.04程度
状態としては、さわやかな気分になり、陽気になります。
皮膚は赤くなり、判断力が少し低下します。
その原因は脳の網様体の麻痺です。
とはいえ、まだ快適に過ごせるような状態だと思います。
こぶた
いい意味で緊張感が解けるようなイメージかな?

②ほろ酔い期

血中アルコール濃度は0.05~0.1程度
ほろ酔い気分になり、爽快期よりも理性が失われます。
身体的には体温が上がり、脈が速くなります
これはアルコール自体の作用と、アルコールが分解されて出るアセトアルデヒドの作用です。
ぶたちく先生
お酒を飲んだ時はこのあたりでやめたいところだね・・・

③酩酊初期

血中アルコール濃度0.11~0.15程度
このあたりになると、周りの人にも迷惑を与えかねない状況です。
気が大きくなり、怒りっぽくなります。
また身体的には大声でどなったり、立てばふらつき始めます。
これは、網様体の麻痺だけでなく、小脳にも麻痺が出始めています。
こぶた
たまに酔って怒鳴っている人とか見かけるけどすごく怖いよね・・・

④酩酊期

血中アルコール濃度0.16~0.30程度
何度も同じことをしゃべるなど、もう普通の会話はできなくなります。
身体的には吐き気、嘔吐を起こします。
これは、肝臓がアルコールの対処ができなくなり、過剰なアルコールを吐き出させているのです。
単純に体の限界を超えているのでここまで来ないようにしてください。
命に係わる可能性もあり、自分の吐しゃ物で窒息する可能性があります。
また、まっすぐ歩くことができません。
これは小脳が麻痺し、運動障害が起きているためです。
本当はこの時点でやめなければなりませんが、残念ながらその判断すらも難しくなっています。
ぶたちく先生
自分の体が限界を超えていることにも気づかなくなるんだ・・・でも吐きたくなったら絶対に吐くこと!

⑤泥酔期

血中アルコール濃度0.31~0.40
意識は不明に近くなり、言語はめちゃくちゃになります。
もちろんまともに立つこともあるくこともできません。
脳の網様体や小脳は完全に麻痺。
さらに記憶をつかさどる海馬という部分が麻痺し、記憶する能力がなくなります。
こぶた
飲み過ぎて記憶がなくなるってよく聞くけどだいぶヤバいレベルだね・・・

⑥昏睡期

血中アルコール濃度は0.41~0.50
意識はもうありません。
人がゆすっても起きず、呼吸はゆっくりで深くなります
人によっては大小便を垂れ流します
ここで脳全体が麻痺すると呼吸中枢である延髄も麻痺
死に至る可能性もあります。
こぶた
本っ当に飲みすぎって良くない!これで命を失うのはすごくもったいないよ!
ぶたちく先生
そうだね・・・次の記事で悲しい事件が起きないようにタイプ別で気をつけないといけないことをまとめてみたよ!