前回からの続きです!
前回の記事はこちら!「迷走する飛行機たち①~本当に大丈夫?大空を飛ぶヘンテコ飛行機」
ボールトン ポール デファイアント
1937年イギリスで開発された戦闘機です。
戦闘時に機体を操縦するパイロットと機銃で攻撃を行う人を分業させるという画期的な発想で誕生しました。
ご覧の通り、コックピットのすぐ後ろに機銃がついています。
前方に撃てばコックピットをぶち抜いたりプロペラを破壊しかねないので、前方向には攻撃できません。
また、真後ろに撃つと自機の尾翼を破壊してしまうため、尾翼に当たる角度でも攻撃ができません。
攻撃方向が限られるものの、ヘンテコ飛行機の中では珍しく夜間戦闘で一応の戦果をあげました。
しかし
4門の機銃が重く動きが鈍い
パイロットと機銃係の意思疎通が難しく、都合よく銃撃できない
攻撃方法がないため、正面からの攻撃にとても弱い
という欠点があり、あまり活躍できませんでした。
作ってるときに考えられなかったの?
まぁまぁ・・・気になったとしても実際乗ってみるとあんまり気にならなかった、みたいなこともあるわけで・・・
スティパ・カプロニ
スティパ・カプロニは1930年代、イタリアで開発されました。
可愛らしい機体なのですが、正面から見るとこんな感じです。
大きな筒の中にジェットエンジンとプロペラを収納したこの機体。
プロペラが回ると、発生した風が胴体を真後ろに抜けます。
そのため非常に安定感のある飛行ができる予定でした。
早速試作機が作られ、テストパイロットが乗ると・・・
圧倒的安定感!
安定感があり過ぎたため、なんと進行方向を変えることが困難・・・
つまり曲がれない飛行機になってしまったのです。
しかし、この機体はジェットエンジンのような仕組みをしていたため、後のジェットエンジンの開発に貢献したと言えます。
見た瞬間なんか飛ばなさそうだと思ったけど、安定感自体はあったんだね・・・
正面から見るとジェット機のエンジン部分とそっくりだよね!この研究は無駄にならなかったわけだ!
XFY-1ポゴ
前回の記事でもいくつか出ましたが、滑走路不要の垂直離着陸が可能な飛行機は第二次世界大戦中から終了後にかけて各国が開発を進めていました。
XFYー1ポゴは1954年アメリカで開発されました。
もはや飛行機ではないのでは?という見た目ですが・・・
パイロットはハシゴを使ってコックピットに入ります。
垂直に発射し、なんと水平飛行への転換にも成功しました。
にもかかわらず、この機体の計画は翌年中止されました。
なんと、着陸の際にパイロットは水平飛行から垂直方向への転換が非常に難しいうえ、着陸時に全く地面が見えないということがわかったからです。
着陸を考えないパターンって結構あるんだね・・・
飛ぶことに意識を集中させ過ぎたのかな・・・?
ドゥランヌ10C2
1940年、フランスで作られた飛行機です。
第二次世界大戦でフランスは開戦後すぐに降伏したので活躍の場はありませんでした。
写真を見てもわかりにくいかもしれませんが、前方にプロペラがあり、真ん中と後ろに翼があります。
なんともヘンテコな形の飛行機ですが、最大の問題は後部に配置されたコックピットです。
なんと
前が見えない・・・
ドイツ軍が開発を続けましたが実用化はされませんでした・・・
いやいやいやいや・・・設計段階でわかるでしょ・・・ちゃんとわからないまでも「見えるかな?」みたいになるでしょ!
ごもっとも・・・
Bv P.163
ドイツには個性的な飛行機の設計者がいました。
その名も「リヒャルト・フォークト博士」
彼は常識破りの飛行機を次々設計しましたが、個人的に一番ヘンテコだと思ったのがこのBv P.163です
どうなってるのかというと、パイロットは翼の両端に乗るのです。
そして、片方が操縦担当で片方が機銃担当というデファイアントと同じ分業制のものでした。
敵も戸惑うかもしれませんがパイロットたちも戸惑うでしょうね・・・
名案なのかヘンテコなのかわからなくなってきたよ・・・
欠点はデファイアントと同じだけどね・・・
カプロニCa.60
1920年頃イタリアのカプロニ社によって製造された飛行艇です。
これは、「100人の乗客を乗せて大西洋を横断する」という計画のもとに作られました。
しかし、時代は1919年にジョン・オールコックとアーサー・ブラウンが初の大西洋無着陸横断に成功したところ。
当時の計画としてはとても困難なものでした。
見てのとおり前方、中間、後方に各3枚ずつ計9枚の翼を付けた飛行機。
かなり巨大でインパクトがありますが・・・
試作機が作られ試験飛行しましたが、高さが約18mまでしか上がらず、墜落。
墜落の衝撃で機体は破壊され、湖の底に沈んでしまいました。
見た目のインパクトはすごいけどね!
結果は残念だったけど、たくさんの人を乗せて運ぶという発想はとても斬新だったからね!
最後に
いかがでしたか?
2回にわけてお送りしてきたヘンテコ飛行機たち。
これらのアイデアは飛行機の可能性に賭けた開発者たちの努力の結晶です!
現代の飛行機の安全性が、様々な失敗の上に成り立っているということを忘れてはいけません。
でも何となく笑ってしまうものばかりでしたね。
いつか飛行機が戦いの道具ではなく、純粋に移動や物流、フライトを楽しむだけのものになればいいなと思います。
関連記事