迷走する飛行機たち①~本当に大丈夫?大空を飛ぶヘンテコ飛行機~

空を飛びたい!
それは人類の長きに渡る夢でした。
神話の世界でイカロスは翼を得ますが、高く飛び過ぎたあまり太陽で翼が溶けて墜落しました。
レオナルドダヴィンチは人口翼を設計するなど、空を飛ぶために様々な思考を巡らせました。
そして1903年、ついにライト兄弟は人類初の有人動力飛行に成功したのです。
それからわずか120年。
今や飛行機事故で死亡することは宝くじに当たるよりも難しくなりました。
しかし、ここに至るまで様々な試行錯誤があり、今の私達の安全があるのです。
今回はその中でも特にヘンテコな飛行機を取り上げてみました。
その時代の研究者達に今の安全を感謝しつつ読んでください!
こぶた
ヘンテコシリーズの第2弾だね・・・
ぶたちく先生
試行錯誤は進歩に欠かせないことだ!人々の研究に敬意をもって読んでみてほしい!

トリープフリューゲル

Wikipediaから引用
いきなり来ましたね。
でもこれ何?」って聞かれたら、「まぁ飛行機かな?」って感じですよね。
巨大なプロペラのようなこの飛行機は第二次世界大戦末期、ドイツで開発されたジェット機です。
「プロペラのような」と書きましたが、実際プロペラと言っていいと思います。
この飛行機はロケットのように垂直に浮上、機体についた3枚の羽が先端のジェットエンジンでグルグルまわり飛行する・・・予定でした。
しかし
どのように着陸するかがナゾ
垂直方向にしか揚力を得られず、高度を維持したまま機体を傾けることができない・・・つまり進めない・・・
というかそもそも飛ぶのか・・・
根本的な問題を数多く抱えたままドイツが敗戦・・・
結局試作機すら作られず計画中止となりました。
しかし、当時は滑走路がなくても飛行できる飛行機はありませんでした。
その意味では非常に画期的な試みであり、構想自体は後の垂直離着陸機の研究のベースとなりました。
こぶた
発想は自由だもんね・・・
ぶたちく先生
ジェットエンジンでプロペラそのものを回すという大技だね・・・

 

ミステル

Wikipediaから引用
次もまたまた第二次世界大戦中のドイツで開発された飛行機です。
というか、ミステルというのは特定の機体の名称ではなく、一つの爆撃システムのことを指します。
爆撃機が目標に向かって爆弾を投下することはとても難易度が高いです。
途中で風が吹いて向きも変わるし、そもそもパイロットの技量が必要です。
そこで思いつきました。
「飛行機を爆弾にすればいいんじゃない?」
上の写真を見て頂ければわかりますが、上の小さな飛行機が親機で下の小さな飛行機が子機です。
そして下の大きな飛行機は爆弾を満載しています。
飛行機が爆弾なのか、爆弾が飛行機なのかよくわかりませんが・・・
親機は目標地点から子機を切り離し、無人の子機は自動操縦で目標地点に向かって飛行していく、という仕組みです。
残念なことにミステルが実戦投入された頃には、すでにドイツは制空権を失っていました。
ミステルは飛行機をぶら下げており、その重さから非常に動きが鈍く、制空権のない空域でほとんど戦果をあげることができませんでした。
こぶた
今のミサイルみたいな感じなのかな?でも重さのバランスおかしくない?
ぶたちく先生
どうやって離陸するんだろうね・・・

インフレートプレーン

1950年代アメリカのゴム会社グッドイヤーが開発したのがこの「インフレートプレーン」です。
この飛行機はなんと風船でできています。
空気を抜いているとタタミ1畳分程度に折りたたむことができ、必要な時に膨らませて飛ぶことができるのです。
試作機もしっかりと飛行に成功。
作成したグッドイヤーはアメリカ海軍などに売り込むのですが・・・
まぁ買わないですよね・・・
風船ゆえに機体強度に不安があり、結局計画は中止されました。
とはいうものの機銃の弾を数発受けても大丈夫なようには作られており、決して侮れないような気がします。
未来で生きてきそうな発想ですよね。
こぶた
今日のアイデア賞だね!
ぶたちく先生
僕は怖いけどね・・・

XFー85ゴブリン

Wikipediaより引用
なんとなく遊園地の乗り物みたいなこの見た目。
1948年、アメリカで開発されました。
なんかかわいいですよね・・・
冷戦中、アメリカはソ連に向かって長距離爆撃機を飛ばす際の、護衛戦闘機に頭を悩ませていました。
護衛戦闘機の航続距離は決して長くないため、ソ連まで爆撃機に同行して帰ってくることができる戦闘機がなかったのです。
そこでひらめきました!!
「爆撃機に戦闘機を積めばいいんじゃね?」
人間の発想ってなんか似てますよね・・・
そこで開発されたのがこのXFー85
形は爆弾型です。
それもそのはず、通常の爆撃機が爆弾を積む場所にすっぽり入るように設計された戦闘機なのです。
作戦はこうです。
敵と戦闘になる空域まで爆撃機に搭載されて飛んでいきます。
戦闘区域に到達すると爆撃機から出動、爆撃機を護衛します。
そして、戦闘が終わるとまた爆撃機にすっぽり入って戻ってくるのです。
何か作戦だけ聞くとよさそうですが・・・
さっそく試作機が作られたのですが、爆撃機に帰還するのがクソ難しい!!
車輪がついていないため、帰還に失敗した時点で胴体着陸が確定します。
しかも、形が特殊過ぎるため、非常に性能が悪く、戦闘能力の低さから計画は撤回されてしまいました。
子供とかには人気でそうですけど・・・
こぶた
未来的な形だけどね・・・
ぶたちく先生
なんか合体ロボットみたいで僕は好きだな!

C450コレオプテール

Wikipediaから引用
はい、これはやってしまいましたね!
どう考えても違うと思います。
1950年代、フランスで開発されたC450コレオプテール。
これは第二次世界大戦後に開発された飛行機です。
しかし飛行機には見えません・・・
大きなタルに飛行機が挟まって抜けなくなったような見た目です。
4つの車輪に哀愁さえ感じます・・・
ロケットの発射台のようなものに乗せられ、垂直に上がっていきます。
そこから水平に姿勢を変えて飛んでいく予定だったのですが・・・
数回の実験で垂直に上昇することはできたのですが、水平に姿勢を転換できた記録はありません。
最終的に操縦不能で大破。
実用化には至りませんでした。
後半に続きます!